世間一般では1マイルの価値は2円であると言われています。
Tポイントや楽天スーパーポイントなどの共通ポイントは1ポイントを1円分として使用することができます。


では、航空会社が提供しているマイレージサービスで貯めるマイルは、1マイルあたりが何円の価値になるのでしょうか。
TポイントはANAと提携しているため、貯めたTポイントをANAマイルに交換することができます。
500Tポイントを250ANAマイルに交換できますので、2ポイントあたり1マイルという計算になります。
Tポイントの1ポイントは1円ですから、1マイルあたりの価値は2円で計算されていることが分かります。
ただ、実際にはマイルはその使い方によって価値が大きく変動します。
マイルの使いみちの代表的なものとしては「特典航空券」の取得です。
そして、どのような特典航空券を取得するかによって1マイルあたりの価値が変わってきます。
本記事では行き先や座席グレードなど、さまざまな条件でシミュレーションを行い、1マイルあたりの価値を具体的に算出していきます。
なお、本記事では国際線のみを対象としています。
国内線のシミュレーションは別記事にて行っておりますので、興味があればぜひご参照ください。
ANAやJALなどの航空会社のマイレージサービスで貯めることができる「マイル」。このマイルは、1マイルあたり何円ほどの価値になるのかを本記事で解説いたします。一般的に世の中にあるポイントプログラムの場合、1ポイントが1円で計[…]
またANAとJALでは同じ路線でも航空券の販売価格に違いがあったり、特典航空券に必要なマイル数にも違いがあります。
シミュレーションの考え方はANAもJALも変わりありませんが、本記事上のシミュレーションはANAマイルを用いて実施いたします。
国際線でのANAマイル価値の試算の準備
国際線は国内線と比べて検討すべき項目が増えます。
- 行き先をどこにするのか?国内線よりも多い選択肢
- 座席クラスをどうするのか?エコノミー/ビジネス/ファースト
- アライアンスによるコードシェア便の使用有無
行き先候補が桁外れに多いですよね。
また、国内線では「普通席」か「プレミアムクラス」の2つしかないのに、国際線では「エコノミークラス」「プレミアムエコノミー」「ビジネスクラス」「ファーストクラス」など、いくつもの予約クラスが存在します。
さらに同じ座席クラスでも予約変更が手数料なしでできるのか出来ないのか、キャンセル時に手数料が発生するのかしないのか、等によっても価格が変わってきます。
Economy | |||||
---|---|---|---|---|---|
Super Value | Value | Basic | Flex | Full Flex | |
予約変更 | × | × | 手数料あり | ○ | ○ |
払い戻し | × | 手数料あり | 手数料あり | 手数料あり | ○ |
Premium Economy | ||||
---|---|---|---|---|
Super Value | Value Plus | Basic Plus | Full Flex Plus | |
予約変更 | × | × | 手数料あり | ○ |
払い戻し | × | 手数料あり | 手数料あり | ○ |
Business | |||
---|---|---|---|
Value Plus | Flex Plus | Full Flex Plus | |
予約変更 | × | ○ | ○ |
払い戻し | 手数料あり | 手数料あり | ○ |
First | |
---|---|
Full Flex Plus | |
予約変更 | ○ |
払い戻し | ○ |
ANAのサイトから航空券を購入する場合は、ANA自身が運行している便はもちろんのこと提携関係にある航空会社の便を購入することも出来ます。
これは特典航空券も同様です。
ANAの運航便なのか提携航空会社の運航便なのかで、航空券の購入価格や特典航空券に必要なマイル数も変わってきます。
そのため、本シミュレーションは以下のような前提で進めることとします。
- シーズンはレギュラーシーズン
- 航空券も特典航空券もANA運航便に限定
- 購入する航空券は価格帯が中間のもの
特に航空券では同じ座席クラスでも、予約変更や払い戻しができるかどうかで価格に差が生じてきます。
今回のシミュレーションではちょうど価格帯が中間になる、予約変更も払い戻しも手数料を払えば可能な価格帯とします。
ゾーン区分とは?
国内線も「301~800マイル区間」のように飛行距離によって必要マイル数が区切られていましたが、国際線も基本的な考え方は同じです。
国際線ではそれを「ゾーン区分」と呼称しています。
行き先ごとに細かく必要マイル数が決まっているわけではなく、全世界を10の区分に分けてその区分ごとに必要なマイル数が決められています。
日本(Zone 1) | 日本 |
---|---|
韓国(Zone 2) | ソウル、ウラジオストク |
アジア 1 (Zone 3) | 北京、 大連、 瀋陽、 青島、 上海、 杭州、 広州、 厦門、 成都、 武漢、 深セン、香港、 台北、 マニラ |
アジア 2 (Zone 4) | シンガポール、 バンコク、 ホーチミン、 ヤンゴン、 ジャカルタ、 ムンバイ、 デリー、 ハノイ、 クアラルンプール、 プノンペン、チェンナイ |
ハワイ (Zone 5) | ホノルル |
北米 (Zone 6) | ロサンゼルス、 サンフランシスコ、 シアトル、 サンノゼ、 ワシントン、 ニューヨーク、 シカゴ、 ヒューストン、 バンクーバー、 メキシコシティ |
欧州 (Zone 7) | ロンドン、 パリ、 フランクフルト、 ミュンヘン、 デュッセルドルフ、 ブリュッセル、ウィーン、ミラノ、ストックホルム、モスクワ、イスタンブール |
オセアニア(Zone 10) | シドニー、パース |
Zone 8はアフリカ&中東、Zone 9は中南米です。ANAの運航便が飛んでいないため表中では欠番になっています。
また、その他のゾーンもANA便が直接飛んでいない都市は表記されていません。
ただ、ANAと同じスターアライアンスに属している航空会社が運行している地域や都市であれば、ANAマイルを使用して特典航空券を手に入れることができます。
「提携航空会社特典」と呼ばれるものになり、必要マイル数の計算式が少し違います。
ちなみに、少々見づらい画像ですが、ANA運行便は以下の図のようになります。
細かいところは見えないと思いますので、ざっと全体イメージで捉えてください。
ANAは日本の航空会社ということでアジア地域には強いです。
また北米やヨーロッパ路線も利用者が多いことから比較的多く飛ばしています。
反面、アフリカや南米には全く飛んでいませんので、その地域へフライトするためには提携会社の運航便などを乗り継いでいく形になります。
シーズンとは?
国内線でもあった「ローシーズン」「レギュラーシーズン」「ハイシーズン」の3つの時期区分によって必要マイル数が変わります。
国内線と異なるのは、シーズン区分がゾーン区分ごとに決まっていることです。
具体的には目的地ハワイの場合とニューヨークの場合では、シーズン区分が若干異なります。
特に異なるのは「ローシーズン」です。
GW明けは概ねローシーズン扱いですが、北米やヨーロッパへの運航便に関してはレギュラーシーズン扱いになります。
ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4
年度 | L(ローシーズン) | R(レギュラーシーズン) | H(ハイシーズン) |
2021年 | 1/5~1/29 4/1~4/27 5/10~6/30 12/1~12/19 | 1/30~3/31 7/1~7/22 8/23~11/30 | 1/1~1/4 4/28~5/9 7/23~8/22 12/20~12/31 |
2022年 | 1/4~1/20 4/1~4/26 5/9~6/30 12/1~12/18 | 1/21~3/31 7/1~7/21 8/22~11/30 | 1/1~1/3 4/27~5/8 7/22~8/21 12/19~12/31 |
2023年 | 1/4~1/12 | 1/13~3/31 | 1/1~1/3 |
ゾーン6、ゾーン7
年度 | L(ローシーズン) | R(レギュラーシーズン) | H(ハイシーズン) |
2021年 | 1/5~2/28 4/1~4/27 | 3/1~3/31 5/10~7/22 8/23~12/19 | 1/1~1/4 4/28~5/9 7/23~8/22 12/20~12/31 |
2022年 | 1/4~2/28 4/1~4/26 | 3/1~3/31 5/9~7/21 8/22~12/18 | 1/1~1/3 4/27~5/8 7/22~8/21 12/19~12/31 |
2023年 | 1/4~2/28 | 3/1~3/31 | 1/1~1/3 |
ゾーン5、ゾーン10
年度 | L(ローシーズン) | R(レギュラーシーズン) | H(ハイシーズン) |
2021年 | 1/5~2/28 4/1~4/27 5/10~5/31 | 3/1~3/31 6/1~7/22 8/23~12/19 | 1/1~1/4 4/28~5/9 7/23~8/22 12/20~12/31 |
2022年 | 1/4~2/28 4/1~4/26 5/9~5/31 | 3/1~3/31 6/1~7/21 8/22~12/18 | 1/1~1/3 4/27~5/8 7/22~8/21 12/19~12/31 |
2023年 | 1/4~2/28 | 3/1~3/31 | 1/1~1/3 |
利用クラスとは?
国際線は国内線とは違い、エコノミークラス以外に「プレミアムエコノミー」、「ビジネスクラス」、「ファーストクラス」など様々な座席クラスが存在します。
当然ですが、座席クラスが上位になるほど必要なマイル数が増えていきます。
路線によってプレミアムエコノミーやファーストクラスが設定されていないものもありますが、設定されている利用クラスであればどれも特典航空券で手配が可能です。
ここまで説明した、ゾーンとシーズンと利用クラスの3つの条件を組み合わせて、国際線特典航空券の必要マイル数は以下の通り定められています。
ゾーン2(韓国・ロシア1)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 12,000 | 15,000 | 18,000 |
プレミアム エコノミー | ー | ー | ー |
ビジネス | 25,000 | 30,000 | 33,000 |
ファースト | ー | ー | ー |
ゾーン3(アジア1)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 17,000 | 20,000 | 23,000 |
プレミアム エコノミー | 30,000 | 33,000 | 36,000 |
ビジネス | 35,000 | 40,000 | 43,000 |
ファースト | ー | ー | ー |
ゾーン4(アジア2)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 30,000 | 35,000 | 38,000 |
プレミアム エコノミー | 46,000 | 51,000 | 54,000 |
ビジネス | 55,000 | 60,000 | 63,000 |
ファースト | 105,000 | 105,000 | 114,000 |
ゾーン5(ハワイ)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 35,000 | 40,000 | 43,000 |
プレミアム エコノミー | 53,000 | 58,000 | 61,000 |
ビジネス | 60,000 | 65,000 | 68,000 |
ファースト | 120,000 | 120,000 | 129,000 |
ゾーン6(北米)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 40,000 | 50,000 | 55,000 |
プレミアム エコノミー | 62,000 | 72,000 | 77,000 |
ビジネス | 75,000 | 85,000 | 90,000 |
ファースト | 150,000 | 150,000 | 165,000 |
ゾーン7(欧州・ロシア2)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 45,000 | 55,000 | 60,000 |
プレミアム エコノミー | 67,000 | 77,000 | 82,000 |
ビジネス | 80,000 | 90,000 | 95,000 |
ファースト | 165,000 | 165,000 | 180,000 |
ゾーン10(オセアニア)
対象 クラス | L | R | H |
エコノミー | 37,000 | 45,000 | 50,000 |
プレミアム エコノミー | 54,000 | 62,000 | 67,000 |
ビジネス | 65,000 | 75,000 | 80,000 |
ファースト | ー | ー | ー |
シミュレーションの前提条件の確認
先述、本シミュレーションの前提条件を以下のようにしました。
- シーズンはレギュラーシーズン
- 航空券も特典航空券もANA運航便に限定
- 購入する航空券は価格帯が中間のもの
レギュラーシーズンということで、どこのゾーン区分でも共通となる日程で、本シミュレーションでは「2022年3月20日(日)~3月26日(土)」の1週間という設定にしています。
また行き先としてはゾーン区分をある程度網羅しつつ、多くの人が利用するであろう以下の路線でシミュレーションを行っていきます。
- 台北
- シンガポール
- ニューヨーク
- ロンドン
もっとも人気の路線はハワイ(ホノルル)かと思いますが、そちらに関して別記事にてまとめたいと思います。
また、航空券購入価格が分かるように画面イメージも使用しますが、スマホ用の画面は縦長表示で使用しにくいため、パソコン用の画面を使用いたしますので、ご了承ください。
それでは具体的に見ていきましょう。
[エコノミークラス] ANAマイル価値の試算
東京⇔台北
台北はゾーン3に区分されますので、エコノミークラスの特典航空券は20,000マイルになります。
実は20,000マイルというのは東京と宮古島を往復するのに必要なマイル数と同じです。
距離的にも宮古島と台湾は近いですからね。
台北往復の航空券を購入したらいくらになるでしょうか。
航空運賃以外の諸費用はマイルで精算出来ませんので、以降計算からは除外します。
そうすると、台北往復での航空運賃は146,000円です。
146,000円の航空券を20,000マイルで手に入れるので、以下の通りとなります。
国内線と比べると1マイルあたりの価値はかなりあがりましたね。
今回は航空運賃が10万を超えましたが、場合によっては5万円程度で行くこともできます。
その場合は、マイル単価は2.5円ほどになりますが、いずれにせよ国内線よりはマイルの価値が上昇します。
台北はフライト時間が3時間ほどですので、週末を利用した2泊3日ツアーなどでも気軽に行くことが出来ますね。
東京⇔シンガポール
次はもう少し足を伸ばしてみましょう。台北と同じく日本からの観光で人気の高いシンガポールです。
シンガポールはゾーン4のアジア2に区分されており、台北のゾーン3と比べると必要マイル数が増えます。
エコノミークラスの特典航空券に必要なマイル数は35,000マイルです。
では、シンガポール往復の航空券を購入したらいくらになるでしょうか。
台湾と比べて必要マイル数が多い分、航空運賃も少し高くなります。
20万にぎりぎり届くかどうかという199,000円ですね。
199,000円の航空券を35,000マイルで手に入れることになりますので、以下の通りとなります。
台北往復よりも1マイルあたりの価値が下がりましたね。
実はシンガポールはANA便だけで1日に5本以上は飛んでいて、航空券の価格が台北と比べて割安になります。
ですので、同じゾーン4でもクアラルンプールやホーチミンの方がマイルの価値は高くなるでしょう。
シンガポールはとても綺麗で治安のいい国ですよね。
アジア全般に言えることですが、最近はどこも日本よりも物価が高くなってきています。
特にシンガポールは物価が高く買い物も観光も、ちょっと引いてしまうときがありますが、治安が良いというだけでも海外旅行初心者にとっては安心できる旅行先ですね。
東京⇔ニューヨーク
さらに足を伸ばしてみましょう。ニューヨークはゾーン6の北米となります。
北米エリアでも、特にニューヨークは東海岸にあるので、飛行距離/時間が長く、航空運賃も高くなります。
マイル単価も大きく上がることが期待できますね。
エコノミークラスで必要なマイル数は50,000マイルです。
ニューヨーク往復の航空運賃は次のとおりです。
航空運賃もとうとう30万円を超えてきました。
336,500円の航空券を50,000マイルで手に入れますので、以下の通りとなります。
意外と台北よりも1マイルあたりの価値が下がりましたね。
航空運賃が倍以上になっていますが、必要マイル数も倍以上になってしまうため、マイルの価値が大きく向上することはありませんでした。
ニューヨークは大人の街と言われるので、家族連れよりもカップルや夫婦で行く方が多いようです。
一度現地でレンタカーを借りてニューヨークの市街地から郊外を何度か往復で走ったのですが、とにかく左ハンドル&右側通行に慣れませんね。
左折時に左側レーン(反対車線)に入りそうになり、冷や冷やしたことがありました。
ニューヨークのせいではないですが、以降、海外で運転するのはやめようと心に誓っています。
東京⇔ロンドン
最後は方向を変えて欧州方面のロンドンです。
ロンドンには国際空港が6つありますが、日本からの路線で使用されるのは「ヒースロー空港」です。
欧州方面にいくときの乗り継ぎ空港としてもよく利用されています。
ロンドンを含む欧州はゾーン7ですので、エコノミークラスで必要なマイル数は55,000マイルになります。
それでは、ロンドン往復の航空券の価格を見てみましょう。
価格がだいぶ高くなってきました。
445,000円の航空券を55,000マイルで手に入れますので、以下の通りとなります。
マイル単価がかなり向上し1マイルあたりの価値は8円を超えました。
エコノミークラスでのANAマイル価値試算のまとめ
ここまで見てきた、エコノミークラス4路線のマイル単価は以下のとおりです。
台北 | 約7.3円 |
シンガポール | 約5.69円 |
ニューヨーク | 約6.73円 |
ロンドン | 約8.09円 |
予約変更も払い戻しも不可の航空券であれば、もっと購入価格を抑えられますのでマイル単価は減少します。
そういう航空券を選択していないのはマイルの価値を上げるためではなく、あくまで一般的な利用方法を想定してのことです。
海外旅行となるとそれなりの計画が必要になってきます。
日常や仕事で予期せぬトラブルが発生した場合、購入していた航空券の予約が変更も払い戻しも出来なければタダの紙屑になってしまいます。
当然それを見越して航空券の購入をギリギリまで待つこともできますが、航空運賃は残座席数連動なので直前購入はいずれにせよ高くなります。
そのあたりを踏まえて、手数料はかかりますが予約の変更や払い戻しができる航空券をベースにしています。
また、航空券の価格は購入時期によって大きく変動しますので、この情報を元にあなたが調べてみると、多少変わってくることもあるでしょう。
違うじゃないか!とか怒らないでくださいね。
いずれにせよ、エコノミークラスでの特典航空券利用では、1マイルあたりの価値は5円を超える感じになります。
国内線ではマイルの価値が5円に達するケースは滅多にありませんので、国際線を利用したほうがマイルの使い方としてはお得です。
そして、マイルを貯めている方の大半の目的は「ビジネスクラスへの搭乗」かと思います。
続いてビジネスクラスの特典航空券を利用した場合の1マイルあたりの価値を見ていきましょう。
[ビジネスクラス] ANAマイル価値の試算
東京⇔台北
さて、ここからが特典航空券の本領発揮です。
まずは台北です。
台北往復のビジネスクラス特典航空券に必要なマイル数は40,000マイルです。
そしてビジネスクラスの航空券を購入した場合の費用は次の通りになります。
269,000円です。
エコノミークラスが155,580円でしたので約1.7倍です。
269,000円の航空券を40,000マイルで手に入れますので、以下の通りとなります。
エコノミークラスの1マイルあたりの価値が7.3円でしたので、ビジネスクラスを利用したほうがマイルの価値が下がります。
これはエコノミークラスとビジネスクラスで必要なマイル数の差が、近距離のほうが大きくなることが要因です。
台北が属するゾーン3では、エコノミークラスとビジネスクラスの特典航空券に必要なマイルの差が2倍あります。
しかし、実際の航空運賃は1.7倍程度ですので、1マイルあたりの価値が低下してしまいます。
ところが後ほどシミュレーションするゾーン7の欧州では、エコノミークラスとビジネスクラスの特典航空券に必要なマイル差は1.6倍程度になります。
つまり、ビジネスクラスを利用する場合、長距離路線の方がよりお得になるということです。
東京⇔シンガポール
続いてシンガポールです。
エコノミークラスで計算した時は、1マイルの価値が5.69円と台北よりも低かったシンガポールですが、ビジネスクラスではどうでしょう。
シンガポール往復のビジネスクラス特典航空券に必要なマイル数は60,000マイルです。
では、航空券を購入した場合の費用はいくらになるでしょうか。
50万円を超える価格になってきました。
シンガポール便はエコノミークラスと比べて航空券の価格が倍以上になりましたね。
527,000円の航空券を60,000マイルで手に入れることになりますので、以下の通りとなります。
こちらは台北を逆転し1マイルあたりの価値が大きく上昇しました。
冒頭で、一般的にマイルの価値は1マイルあたり2円で計算されると解説しましたが、シンガポール往復のビジネスクラス特典航空券で使用すると、1マイルあたりの価値が4倍以上にあがります。
つまり、1マイルを2円で手に入れたものが、8円以上の価値を持って利用することができるわけです。
東京⇔ニューヨーク
さらに、ニューヨークも見ていきましょう。
ニューヨーク往復のビジネスクラス特典航空券に必要なマイル数は85,000マイルです。
だんだんと特典航空券に必要なマイル数も多くなってきました。
では、航空券を購入した場合の費用はいくらになるでしょうか。
とうとう航空券の購入価格が100万円を超えてきましたね。
12時間以上のフライトのビジネスクラスの航空券価格は、これまでとは比べ物になりません。
エコノミークラスと比べても倍どころか4倍以上になっています。
1,397,000円の航空券を85,000マイルで手に入れることになりますので、以下の通りとなります。
1マイルあたりの価値も10円を超えてきました。
確かに特典航空券に必要なマイル数も85,000と、それなりに多くなってきていますが、航空券価格が100万を超えるような路線だとお得感が半端ないです。
東京⇔ロンドン
最後はロンドンです。
エコノミークラスでは、1マイルあたりの価値が8円を超えるもっとも単価の高い路線でした。
ロンドン往復のビジネスクラス特典航空券に必要なマイル数は90,000マイルですので、実はニューヨークと比べるとそれほど違いはありません。
では、航空券を購入した場合の費用はいくらになるでしょうか。
意外にもニューヨーク往復よりも安くなりましたね。
1,330,000円の航空券を85,000マイルで手に入れることになりますので、以下の通りとなります。
こちらも1マイルあたりの価値が10円を超えているので、マイル単価はすごいです。
しかし、先ほどのニューヨークより特典航空券に必要なマイル数が増えているにも関わらず、航空券運賃がロンドンの方が安いために1マイルあたりの価値は下がってしまいました。
なぜニューヨーク便よりもロンドン便の方が安くなったのかは定かではありません。
考えられるのは現時点でニューヨーク便の方が予約が多く入っていて、残りの座席数が少なくなっている可能性があります。
ビジネスクラスでのマイル価値試算のまとめ
台北 | 約6.73円 |
シンガポール | 約8.78円 |
ニューヨーク | 約16.44円 |
ロンドン | 約14.78円 |
ビジネスクラスの特典航空券を利用した場合の1マイルあたりの価値をまとめるとこのような結果になりました。
やはり、北米や欧州など長距離路線を利用した方がマイルの価値を大きく高めることができます。
ロンドンの方がニューヨークよりマイルの価値が低くなってしまったのは想定外でしたね。
先にロンドンをシミュレーションした方が、驚きの結果になったのではないかとちょっと後悔しています…
せっかくですので、ビジネスクラス利用でもっともマイル価値が高くなったニューヨーク路線の、ファーストクラスを利用した場合のマイル価値も見てみましょう。
[ファーストクラス] ANAマイル価値の試算
東京⇔ニューヨーク
ここまで見てきたことから想定できるのは、1マイルあたりの価値が15円以上になることは間違いないので、興味の対象としては20円に届くかどうかですね。
ニューヨーク往復の特典航空券に必要なマイル数は大きく跳ね上がって150,000マイルになります。
もし仮に1マイルあたりの価値が20円だとすると、航空券運賃は300万円を超える計算になりますが、実際はどうでしょうか。
残念ながら(?)、300万円には届きませんでしたが、それでも200万円を大きく超えて2,665,000円になりました。
2,665,000円の航空券を150,000マイルで手に入れることになりますので、以下の通りとなります。
やはり、1マイルの価値が20円には届きませんでしたね。
そうはいっても、これを現金で購入するのはなかなか厳しいものがあります。
フライト時間の合計が27時間です。
前後の待ち時間なども含めて35時間ほどをこのファーストクラス利用で過ごしたとしても、1時間あたり8万円です。
1時間毎に8万円を消費していくというのは、庶民感覚では現実離れしすぎていますね。
国際線でのANAマイル価値の試算のまとめ
ここまでの結果を全てまとめると以下のようになります。
利用クラス | 行き先 | マイル単価 |
---|---|---|
エコノミー | 台北 | 7.3円 |
エコノミー | シンガポール | 約5.69円 |
エコノミー | ニューヨーク | 約6.73円 |
エコノミー | ロンドン | 約8.09円 |
ビジネス | 台北 | 約6.73円 |
ビジネス | シンガポール | 約8.78円 |
ビジネス | ニューヨーク | 約16.44円 |
ビジネス | ロンドン | 約14.78円 |
ファースト | ニューヨーク | 約17.77円 |
結果として、1マイルあたりの価値を高めるポイントは以下のようになります。
- なるべく遠くへ飛ぶ(海外 > 国内)
- 利用クラスをビジネスクラス以上にする
- 夏休みや年末年始などのハイシーズンを狙う
エコノミークラスの場合でも、国内線と比べると国際線の方が圧倒的に1マイルあたりの価値が高くなります。
また、エコノミーよりビジネス、ビジネスよりファーストクラスのほうが、1マイルあたりの価値は向上します。
もちろん、特典航空券に必要なマイル数も増えていきますが、マイルを有効に活用するためには上位クラスを狙うのがおすすめでしょう。
また、本記事では全て「レギュラーシーズン」でシミュレーションを行いましたが、「ハイシーズン」になると航空運賃がかなり高くなるため1マイルあたりの価値も上昇します。
Tポイントや楽天スーパーポイントなどの共通ポイントは、獲得した1ポイントが1円の価値として利用できます。
冒頭でお話したとおり、Tポイントは2ポイントが1マイルになりますので、単純計算で1マイルの価値は2円で計算されています。
ところが、特典航空券の利用方法によっては1マイルの価値は10円を大きく超えてきます。
1マイルが2円の価値であったものが、10円の価値として利用できるということは資産が5倍になっていることになります。
そう考えるとTポイントや楽天ポイントをそのまま使用するより、マイルに交換して使用したほうがいかにお得かが分かります。
もちろん、ビジネスクラスの特典航空券に必要な85,000マイルや90,000マイルを貯めるのは大変です。
それこそ、コツコツTポイントをマイルに交換してもなかなか90,000マイルには届かないでしょう。
それでも90,000マイルどころか、20万マイル程度であれば1年間で貯めることは十分可能です。
例えばニューヨーク路線のファーストクラス特典航空券は15万マイルも必要です。マイル数としては膨大です。
しかし、15万マイルは庶民でも現実的に1年以内に貯めることが可能です。
一方、ファーストクラスの航空券を購入するために必要な費用は270万弱ですが、これは庶民では1年で貯金することは無理でしょう。
実際に私の貯金はこの1年間で270万も増えていませんが、マイルはこの1年間で35万マイルほど増えています。
ぜひ、たくさんマイルを貯めて素敵な海外旅行を楽しんでくださいね
マイル初心者でも正しい知識を身につけてマイルを貯めていけば年間で20万マイル以上貯めることも十分可能です飛行機に搭乗した際に営業マンから勧められたマイレージサービス。知人友人がマイルを貯めて海外旅行に行った話[…]