ANAやJALなどの航空会社のマイレージサービスで貯めることができる「マイル」。
このマイルは、1マイルあたり何円ほどの価値になるのかを本記事で解説いたします。
一般的に世の中にあるポイントプログラムの場合、1ポイントが1円で計算されることが多いです。
しかし、1マイルの価値に関しては、その使い方や使いみちによって大きく変わるのが特徴です。
一般的なポイントプログラムとは
世の中にはさまざまな共通ポイントがありますよね。
Tポイント、dポイント、楽天スーパーポイント。その他にも個別ショップのポイントなど含めると何種類あるかも分かりません。
日々新しいポイントが増え、人気のないポイントが消えていきますが、現在日本で主要なポイントと言えば以下の4つになります。
- 楽天スーパーポイント
- Tポイント
- Pontaポイント
- dポイント
この他にも、スーパーや百貨店で取り扱っているポイントや交通機関系のポイントなどさまざまあり、多くの人の財布はポイントカードでパンパンかもしれません。
そして「マイル」も少し特殊ではありますが、航空会社が提供しているポイントサービスですのでポイントの一種です。
その特殊性が顕著なのが、1ポイント(1マイル)あたり何円になるのかの価値の違いです。
上記で挙げた代表的なポイントの価値は、基本的には1ポイントは1円として使用することができます。
ところがマイルは1マイルが2円だったり5円だったり、時には10円以上の価値を持つこともあります。
尚、本記事では比較対象として1ポイントが1円となる楽天ポイントやTポイントのことを総称して「共通ポイント」と呼びますね。
マイルとは?
本記事で取り扱う「マイル」とは、航空会社が提供しているマイレージサービスで付与されるポイントのことです。
起源は1981年にアメリカン航空が始めた「AAdvantage」サービスが初のマイレージサービスです。
当時、低迷していた業績を立て直すために始めたポイントサービスが起源です。
その後、北米の航空会社がこれを真似してマイレージサービスが拡がっていきます。
航空業界が徐々にグローバル化していくなかで、航空会社間の競争が激しくなり、その結果「スターアライアンス」や「ワンワールド」などのアライアンスが誕生していく中で、マイレージサービスも全世界へ拡大していきました。
マイレージサービスの基本は共通ポイントと同じで、自社のサービスを利用してくれるお客様に対してポイントを付与することで、リピーターを増やすことが目的です。
そのマイレージサービス自体もサービスの幅が広がっていき、飛行機に乗ってフライトマイルを貯めるのはもちろんのこと、以下のようにマイルを貯めることができるようになってきています。
- 飛行機に乗ってフライトマイルを貯める
- 提携のクレジットカードを使ってマイルを貯める
- 共通ポイントを交換することでマイルを貯める
- ポイントサイトを活用してマイルを貯める
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どうしてマイルが人気なのか?
一般的なポイントは使用した金額の1%分が付与されます。
つまり100円分の買い物をすると1ポイントのポイントがもらえます。
そして1ポイントは1円として使用できますよね。
ただし、その100円をどこで何に使ったかによって貯まるポイントの種類は違ってきます。
日々ポイントを貯めていくと、あそこのポイントは700ポイント貯まり、こっちのポイントは500ポイント貯まり、そっちのポイントは800ポイント貯まりと、バラバラにポイントが貯まっていった経験はありませんか?
そして、いざポイントを使用しようとすると「1,000ポイント以上から使えます」と言われてガッカリすることもあるはずです。
上記で例にあげたポイント数は全て1,000ポイント未満ですので、もう少し頑張って貯めないと使用することができません。
ところが、この3種類のポイントを合算するとちょうど2,000ポイントになり、キリよく使うことができそうです。
そう考える人が思いつくのが「ポイント移行」サービスです。
世の中に数多くのポイントが出回る中で、ポイント同士の相互交換もできるようになってきています。
そして、移行するのであれば少しでも1ポイントの価値が高いところに移行したいと思うものです。
先ほど例に上げた700、500、800ポイントを合算すると2,000ポイントになりますが、移行先で1ポイントは0.5円の価値ですと言われたらせっかく貯めたポイントの価値が半減してしまいます。
逆に1ポイントは10円ですと言われたら、貯めたポイントの価値が10倍になるわけです。
マイルが人気なのはまさに1ポイント、つまり1マイルの価値が2円以上になったり、場合によっては10円以上になったりすることがあるからです。
1マイルは何円の価値になるの?
「1マイルの価値が2円以上になったり、場合によっては10円以上になったり」って、つまり何円の価値になるの?と思うでしょう。
マイルはその性質上、基本的な用途としては航空券の購入になります。
具体的に言えば「特典航空券」という、一定のマイルを使用すると国内や海外への無料航空券を手に入れることができます。
その時に必要なマイル数は行き先によって変わってきます。
東京から大阪に飛ぶのと、東京からニューヨークに行くのでは航空券の購入価格が違うのと同じ理由です。
そして、航空券価格のもう一つの特徴が「時期によって価格が変動する」「座席クラスによって価格が変動する」です。
つまり、年末年始にビジネスクラスでハワイに行く航空券はものすごく高いですが、年末年始明けの平日にエコノミークラスでハワイに行く航空券は激安です。
同じ航空券でも行き先や時期で価格が変動しますが無料航空券を手に入れる為に必要なマイルはそれに準じて変動するわけではありません。
そのため、基本単価の高い航空券を「特典航空券」として手に入れる場合は1マイルの価値は大幅にあがり、その逆の場合は1マイルの価値は下がります。
そこで、本記事では国内線の「特典航空券」を取得するのにマイルを使用することに絞って、1マイルあたりの価値についてシミュレーションしていきたいと思います。
国内線でのマイル価値の試算の準備
さて、お待たせしました。
それでは、1マイルの価値が何円になるのかシミュレーションしていきましょう。
マイルの使用条件は航空会社ごとに違いますので、ここでは「ANAマイル」を例としてシミュレーションします。
マイルの利用方法としては、特典航空券を手に入れるのが最もマイルの価値が高くなりますので、このシミュレーションは特典航空券を使うものとします。
先ほど説明したように航空券の価格が時期や座席クラス、予約のタイミングによって一律ではありませんので、以下の条件を前提とした上でシミュレーションしていきます。
- シーズンはレギュラーシーズン
- 航空券はANAの公式サイトで購入する
- 航空券の種別は「スーパーバリュー」とする
- 航空券および特典航空券ともに往復手配
- 往復ともに10時台の最初の便とする
- 国内出発地は東京
- マイル単価は小数点第3位以下を四捨五入
ANAの航空券購入は購入時期が早ければ早いほど安くなります。
購入時期によって同じエコノミーでも「フレックス」「バリュー」「スーパーバリュー」と航空券の価格に違いが出てきます。
今回は特典航空券との比較という趣旨ですので、比較的早い時期に航空券を手配するだろうということから、「スーパーバリュー」価格を参考にしたいと思います。
国内線でのマイル価値シミュレーション
国内線の特典航空券はプレミアムクラスを取ることが出来ませんので、全てエコノミークラス(普通席)となります。
今回はレギュラーシーズンである2021年10月10日(日)〜10月16日(土)の約1週間で検索しました。
国内線の特典航空券に必要なマイル数は、ANAの公式サイトので公開されているマイレージチャート に準じます。
マイレージ区間とシーズンによって、必要なマイル数は以下の通りです。
これは片道分ですので、往復するには表中に記載の倍のマイルが必要になります。
マイレージ(1区間) | L(ローシーズン) | R(レギュラーシーズン) | H(ハイシーズン) |
0~300マイル区間 | 5,000 | 6,000 | 7,500 |
301~800マイル区間 | 6,000 | 7,500 | 9,000 |
801~1,000マイル区間 | 7,000 | 9,000 | 10,500 |
1,001~2,000マイル区間 | 8,500 | 10,000 | 11,500 |
表中の「0~300マイル区間」がどこからどこを指すのか分かりづらいですが、発着路線は以下の通りになります。
0~300マイル区間の発着路線
東京 | 秋田、庄内、仙台、新潟、八丈島、富山、小松、能登、名古屋、大阪 |
大阪 | 萩・石見、松山、高知、福岡、大分、熊本、宮崎 |
名古屋 | 新潟、松山 |
札幌 | 利尻、稚内、女満別、根室中標津、オホーツク紋別、釧路、函館、青森、秋田 |
仙台 | 小松 |
福岡 | 対馬、五島福江、宮崎 |
長崎 | 壱岐、五島福江、対馬 |
沖縄 | 宮古、石垣 |
301~800マイル区間の発着路線
それぞれの表に記載されている以外の発着区間
801~1,000マイル区間の発着路線
東京 | 沖縄 |
大阪 | 石垣、宮古 |
静岡 | 沖縄 |
名古屋 | 沖縄、宮古 |
札幌 | 福岡 |
1,001~2,000マイル区間の発着路線
東京 | 石垣、宮古 |
名古屋 | 石垣 |
札幌 | 沖縄 |
沖縄 | 仙台、新潟 |
つまり、ビジネス路線でよく使用される東京~大阪間は「0~300マイル区間」になりますし、最長路線の札幌~沖縄は「1,001~2,000マイル区間」に相当します。
この表にない路線、例えば東京~長崎間などは「301~800マイル区間」ということになります。
それでは具体例を見ていきましょう。
東京発着を前提とした場合、よく使用される路線は以下の3つかと思います。
- 大阪
- 北海道
- 宮古島
大阪はビジネス路線、北海道や宮古島は観光路線ですね。いずれも航空会社にとってはドル箱路線になります。
東京⇔大阪の特典航空券でのマイルの価値
東京大阪間は距離も短く「0~300マイル区間」に相当します。
そのため、レギュラーシーズンで特典航空券取得に必要なマイル数は6,000マイル、往復で12,000マイルです。
では、これを航空券で購入した場合はいくらになるでしょうか。
ぴったり2万円でした。
20,000円の航空券を12,000マイルで手に入れるので、ANAマイルの単価計算は以下の通りとなります。
1マイルの価値は1円を超えましたが、期待していた程ではないようです。
つまり、東京大阪間の航空券を比較的早めにスーパーバリューで抑えられるのであれば、マイルを使うより現金で購入したほうがいいかもしれません。
ANAの場合、貯めたマイルはSKYコインという現金と同等で航空券の購入に使えるものに交換ができます。
1マイルは1~1.6SKYコインに交換できますので、場合によってはマイルで特典航空券を取るよりもSKYコインに交換して航空券を購入したほうがお得です。
ただし購入時期が遅れれば遅れるほど航空券の価格は上がっていきますが、特典航空券に必要なマイル数は変わりません。
同じ便でも購入時期が直前になると5万円を超えてきます。
もし仮に、東京大阪間の航空券を5万円で購入することを考えると、マイル単価は4円を超えてくることになります。
東京⇔北海道の特典航空券でのマイルの価値
それでは少し距離を伸ばして、北海道は札幌(新千歳)に行ってみましょう。
マイルチャートには東京~札幌間の記載はありませんので、その他に該当する「301~800マイル区間」ということになります。
必要なマイル数はレギュラーシーズンで片道7,500マイル。往復で15,000マイルです。
では、これを航空券で購入した場合はいくらになるでしょうか。
大阪往復と比べ少し値上がりし、30,420円になりました。
30,420円の航空券を15,000マイルで手に入れるので、ANAマイルの単価計算は以下の通りとなります。
1マイルの価値は2円を超えてきました。
1マイルの価値が2円を超えてくると、共通ポイントで1ポイントを1円として使用するよりは、マイルに交換したほうがお得になってきます。
共通ポイントをそのまま使用したほうがいいのか、それともマイルに交換したほうがいいのか、これがマイル単価を2円以上で使えるかどうかがキーになってきます。
同じ北海道でもLCCを使えば半額で飛べることもあります。
それを視野にいれるのであれば、わざわざ貯めたポイントをマイルに交換しなくても、共通ポイントはそのまま利用して北海道に飛ぶ時はLCCを使用するという選択肢も入ってきます。
ただしLCCと言えどもマイルを使わなければ実費として支払いが発生します。
一方、貯まったポイントをマイルに交換するのであれば特段出費が伴うものではありません。
どちらを優先するかはどこに重きを置くかで変わってくるかもしれませんね。
ちなみに大阪路線と同様に購入時期が遅れた場合は、航空券の価格が8万円近くまで上昇します。
もし仮に、東京札幌間の航空券を8万円で購入することを考えると、マイル単価は5円を超えますので非常にお得な使い方になりますね。
また札幌方面は冬シーズンが人気ですから、時期による航空券価格の変動も大きい路線となります。
場合によってはマイル単価が7円を超えてくるケースもあります。
ただし、そのような時期の特典航空券は当然人気が集中しますので、取得が困難になってくることが懸念されますね。
東京⇔宮古島の特典航空券でのマイルの価値
さらに距離を伸ばして宮古島まで飛んでみましょう。
東京から飛べる国内線としては最長になります。
マイルチャート上も「1,001~2,000マイル区間」に該当しますので、必要なマイル数はレギュラーシーズンで片道10,000マイル。往復で20,000マイル必要になります。
東京から宮古島までの航空券を購入すると以下のようになります。
5万円を超えてきました。
51,180円の航空券を20,000マイルで手に入れるので、ANAマイルの単価計算は以下の通りとなります。
さきほどの東京札幌よりも若干マイル単価が上がりましたが、それでもマイル単価は3円に届きませんね。
国内線としては、航空券をスーパーバリューで購入できる限りはマイル単価は2円台がいいところでしょう。
目安としては北海道や沖縄方面など、国内線でも比較的長距離にあたる路線を利用する目的がある場合はマイルを貯める意味が出てきます。
逆に東京大阪間など、比較的近距離路線を使うことを想定するのであれば、無理してマイルを貯める価値はそれほどないかもしれません。
ちなみに往復20,000マイルを使用すると、国際線ではエコノミークラスで香港や上海、マニラ行きの特典航空券が取得できます。
同じ時期の一番安いマニラ往復が14万円弱です。
139,870円の航空券が20,000マイルで手に入るので、ANAマイルの単価計算は以下の通りとなります。
エコノミークラスでこのマイル単価です。
ビジネスクラスを利用するともっとマイル単価があがります。
つまりマイルを有効活用するには、国内線よりも国際線、エコノミークラス(普通席)よりもビジネスクラスがお得ということですね。
まとめ
路線 | マイル単価 |
---|---|
東京⇔大阪 | 1.67円 |
東京⇔札幌(新千歳) | 2.03円 |
東京⇔宮古島 | 2.56円 |
[番外編] 東京⇔マニラ | 7.00円 |
国内線でレギュラーシーズンでマイル単価を試算すると大体1.5円〜3円ぐらい
国内線ではプレミアムクラスが特典航空券で手配できないのと、路線的に短距離になりますのでマイル単価はそれほど高くなりません。
それでも、共通ポイントの1ポイントが1円と比べるとかなり単価が向上します。
貯めたTポイントや楽天ポイントをANAやJALのマイルに交換することで、今まで以上に有効に活用できるようになります。
実際に、色々なところで貯めたポイントをマイルに集約して特典航空券を利用している人も多くなってきています。
特に国内線の場合、マイル単価はそれほど高くなりませんが、必要マイル数が海外と比べて少なく使いやすいです。
自分で航空券を購入する際はLCC(格安航空会社)を利用して費用を抑える。
マイルが貯まったらANAやJALの特典航空券を利用するという使い方も効果的です。
ただ、解説の最後に例示したようにマイルの使い方としてもっともお得なのは国際線です。
それもビジネスクラスやファーストクラスなど。
国内線利用ではマイル単価は高くても5円程度でしたが、国際線になるとマイル単価が10円を超えるケースも出てきます。
しかも、自分で航空券を購入するとしたらなかなか手が出ないビジネスクラスも身近になってきます。
国際線の場合のマイル単価シミュレーションも行っていますので、よろしければぜひご覧ください。
世間一般では1マイルの価値は2円であると言われています。Tポイントや楽天スーパーポイントなどの共通ポイントは1ポイントを1円分として使用することができます。では、航空会社が提供しているマイレージサービスで[…]
また、本記事では触れていませんが、マイルの貯め方としては共通ポイントをマイルに交換する以上にお得な方法もあります。
それらを駆使するとマイルも意外なほどよく貯まりますので、ぜひ当サイトの情報をご活用ください。