ソラチカルート閉鎖に関する考察とnimoca&TOKYUルートの展望

ソラチカルートってご存知ですか?

2019年以降に陸マイラーになった人には馴染みがないかもしれませんね。

2018年1月9日に発表されたソラチカルート閉鎖のお知らせ直後は、当サイトにも「ソラチカ 閉鎖」などで検索してくる方がずいぶん増えました。

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2018年4月以降のソラチカルートに代わる高い交換率のルートを探している方もいたのでしょう。

ソラチカルートの閉鎖、もしくは改悪については従来から危惧されてきたことではありますが、実際そうなってみると陸マイラー界にかなりの衝撃が走りました。

2018年も始まったばかりの発表でしたが、間違いなくその年1番のニュースだったでしょう。

なぜソラチカルートは閉鎖されたのでしょうか?正確に言えば、なぜ各ポイントサイトからメトロポイントへの交換が終了してしまうことなったのでしょうか?

以下、多分に私個人の想像を含みますので、事実と異なるところもあるかもしれません。

読み物だと思って楽しんでいただければと思います。

ANAマイル交換ルートの変遷

このソラチカルート以前のことは私も知りませんので、ソラチカルート以降現在までのANAマイル交換ルートの変遷を整理してみましょう。

~2018年
ソラチカルート
ポイントサイトからANAマイルへの交換率0.9倍
~2019年
LINEルート
ポイントサイトからANAマイルへの交換率0.81倍
2020年~
nimocaルート
ポイントサイトからANAマイルへの交換率0.70倍
TOKYUルート
ポイントサイトからANAマイルへの交換率0.75倍

交換率0.9倍が異常すぎたのか分かりませんが、年々ANAマイルへの交換率はさがってきているのが現状ですね。

交換率0.7倍のANA nimocaルートが長い間安定して続いていますので、もしかしたらこのあたりが本来の着地点なのかもしれません。

ANA To Me CARD PASMO JCB(ソラチカカード)の生い立ち

ソラチカカードが誕生したのは2012年3月です。

この頃は、私もまだマイルを貯めることの意味が分かっていなかったため、陸マイラー活動をしていませんので、ソラチカカード誕生以前に陸マイラーの方々がどのようにして、各種ポイントをANAマイルに交換していたのかは分かりません。

私にとっては0.9倍の交換率でポイントをANAマイルに交換出来ることは当たり前だったのですが、それ以前は0.5倍や0.6倍での交換が普通だったでしょう。

そこに一石を投じたのが、このソラチカカードです。

登場した時点でメトロポイントからANAマイルの交換率が非常に良いと評判になっていました。

ANA VISA Suicaカード」が三井住友カードとANAとJR東日本の提携で発行されていたのに対抗して、JCBカードとANAと東京メトロの提携という形で発行されたものだと思われます。

同じような種別で同じようなカードを発行しても差別化が出来ないために、ANAマイルとの交換率の高さをウリにしてきたのでしょう。

マイルを貯めるためのカードは他にもたくさんありますが、このカードは直接ANAマイルを貯めることよりも、マイル以外の各種ポイントを効率的にマイルに交換できるようにすることで、別の切り口からマイルの貯まりやすさを強調したカードになっています。

このようなカードに特長や差別化を持たせて、カード申込者を増やす、カード発行枚数を増やすという意思は、カード発行会社であるJCBに働きます。

つまり、メトロポイントからANAマイルへの交換率を0.9倍としようとしたのはJCBであり、東京メトロとANAがそれに合意したというのが、ソラチカカード発行の経緯だと思います。

  • 誕生は2012年3月
  • 「ANA VISA Suicaカード」に対抗して発行された
  • 差別化するためにANAマイル交換率の高さをウリにした

ソラチカカードの特徴

一番の利点は先述の通り、メトロポイントからANAマイルの交換率の高さです。

また、これ一枚でANAの飛行機から東京メトロの地下鉄まで幅広くカバーできますので、飛行機の搭乗で貯めたマイルや地下鉄に乗って貯めたメトロポイントなどを統合して有効に活用できるという利点があります。

しかし、実態を見てみると東京メトロのカバー範囲が首都圏のみであることや、このカードで貯めることができるメトロポイントが決して大きくないことから、このカードをPASOMOや定期券として使用している方は多くありません。

また、ショッピングに利用する際は1,000円でOki Dokiポイントが1ポイント貯まり、1Oki Dokiポイントは3マイルとなりますので、1,000円のショッピングで3マイルが貯まることになります。

1,000円で3マイル(マイル還元率0.3%)はマイル還元率としては高いものではありませんので、ショッピング利用でマイルを貯めるのであれば、他のカードを利用した方がいいでしょう。

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つまり、メトロポイントからANAマイルへの交換率の高さをウリにし、マイルが貯まりやすいことを前面に押し出しているものの、それ以外にこのカードの魅力はあまりありません。

年会費が安い一般カードの中で、「マイルが貯まるカード」という打ち出し方は決して間違っておらず、陸マイラーを対象として、かなりの数のカードが発行されていると思います。

誰がソラチカルートを閉鎖したかったのか?

ソラチカルート閉鎖の経緯は私も関係者ではないので真実は分かりません。

しかし、これまでのソラチカカードの仕様で誰が一番困っていたのか?はなんとなく想像が付くような気がします。

ソラチカカードの保有者

このカードの特徴で述べた通り、メトロポイントからANAマイルの交換率の高さ「のみ」がウリのカードですから、保有者の大部分はANAマイルを貯めたい陸マイラーになります。

マイルを貯める予定のない方にとっては、安いとは言え年会費を払ってこのカードを保有するメリットがあまりありません。

また同じく特徴で述べたように、陸マイラーにとってもこのカードを日常で使うメリットがほぼありませんので、保有している陸マイラーの大部分が死蔵カードとしてタンスの中に眠っていたのではないでしょうか?

私は結局一度も使うことなく、ずっとしまいこんでありましたね。

つまり本質的な保有者はほとんどいない状態と言ってもよく、カードを作ってソラチカルートが開通したら、カード自体は不要になっているというのが現実でした。

ポイント相互交換の裏側

相互交換出来るポイントは世の中に無数に存在しますが、それを行うためには各社何かしらの提携を行っているはずです。

例えば、メトロポイントは楽天スーパーポイントに等価交換出来ます。

  • 1,000メトロポイント = 1,000楽天スーパーポイント

誰かが東京メトロに乗車して1,000メトロポイントを貯めたとしましょう。その誰かは1,000メトロポイントを貯めるために乗車運賃として東京メトロにお金を支払ったはずです。

それを楽天スーパーポイントに交換し、楽天市場で1,000円分の買い物が出来るわけです。

ところが楽天市場に出店している出店者からすると、東京メトロに支払ったお金で貯めたポイントを使って商品を購入されても、何も良いことがありません。

当然出店者は楽天市場に1,000円分のポイント購入があった旨を伝え、1,000円分の支払いを受けるでしょう。

それを受けて楽天市場も東京メトロに1000ポイントに見合う分の、つまり1,000円の分の支払いを求めることになります。

元々購入者がポイントを貯める経緯で相応のお金を東京メトロに落としているわけですから、その中から楽天市場に支払いを行うことになります。

つまりこういうことだと思います。

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分かりやすいように図示したつもりが、結局分かりづらいかもしれません。。。

つまり、我々利用者の視点では「ポイントを交換する」という表現が使われますが、東京メトロと楽天市場の間ではポイントの売買が成立していると思われます

実際には手数料に相当するものも含まれている可能性がありますが、手数料率が定かではありませんし、今回の考察には影響もありませんので、一旦省略します。

ソラチカルートによるANAの困りごと

さて、ここまで踏まえた上で、ソラチカルートによってANAが得たものと失ったものは何でしょう?

ポイント交換によってANAマイルを手に入れるユーザーが増えるということは、実際に飛行機に乗らないユーザーをも顧客として囲い込むチャンスとなり、熾烈な航空業界の競争の中で優位に立てる要素が増えることになります。

普段飛行機にはあまり乗らない人がANAマイルを貯めようとするきっかけになります。

そうすると、稀に飛行機に乗る機会があればANAを使おうと思うことでしょう。行き先によっては、複数の航空会社が同じ発着で飛ばしていますので、利用者はどちらが安いかで航空会社を選ぶことになります。

航空会社としては値下げ競争にはしたくありませんので、正規価格でも自社を選択してもらえるよう、マイレージサービスを広め、マイルを貯めることを推奨していきます。

そして先に見たポイント交換の仕組みから分かる通り、ANAはマイルを無料でばらまいているわけではなく、マイルを他社に売っているのです

マイルは価値が高いので、他社ポイントからの交換先として人気です。

多くの他社ポイント事業者が、自社のポイントの価値を高めるためにマイルと交換できるようにしています。今時、貯めたポイントがマイルに交換できないのでは、そのポイントを貯める意味がないとまで思う人もいます。

メトロポイントとの交換も同様で、いくら提携でカードを発行しているからといっても、結局ポイントの交換に伴うマイルの売買が発生しているはずです。

メトロポイントからANAマイルへの交換率が高いということは、ANAがそれだけ高額で東京メトロにマイルを売っているということになりますので、ソラチカルートの交換率が高いといっても、ANAにとっての困り事は全くありません。

ただ、そもそもANAとしてはマイルは飛行機に乗って貯めてもらいたいと思うのが本望です。

飛行機に乗らずマイルを貯めるなんて邪道、と考える人も少なからずいるでしょう。

とはいえ、ソラチカルートを閉鎖することで飛行機の搭乗者数が増えるわけではありません。

本気でANAマイルを貯めるのは飛行機だけと思うのであれば、他のサービスとの提携も打ち切ることになってくるでしょう。

でも、そんな急進的なことはできないでしょう。

日本は周りを海で囲まれている島国です。

ですので一歩国外に出るためには飛行機の利用は重要な選択肢となります。

一方、国内の移動においては、日本は道路網が非常に発達しているので、ある程度の距離であれば車で移動する人も多いでしょう。

さらに長距離になると、今度は日本は世界に誇る新幹線を持っています。

世界一時間に正確で安全な高速鉄道と言われる新幹線が、それこそ数分おきに走って全国津々浦々まで連れていってくれるのです。

私も出張で各地に行くことがありますが、山形や青森などの東北地方に行く場合は新幹線を使います。

名古屋、大阪はもちろん新幹線ですし、広島、山口までも新幹線です。

国内の飛行場は都市部から離れていることも多く、飛行場までの往復にもそれなりに時間がかかることを考慮すると新幹線が便利なことが多いです。

もちろん、沖縄などの離島に移動する場合は飛行機が便利な場合もありますが、国内移動という観点では新幹線の威力は凄まじいので、航空会社にとって国内のライバルは新幹線などの鉄道網です。

この現状において、鉄道利用顧客を飛行機の搭乗者として取り込むのは非常に難しいことであり、マイルを貯めるのは飛行機だけですと打ち出すのは現実的ではありません。

そうなってくるとANAの考えることは以下のようになってきます。

  • 本来はマイルは飛行機に乗って貯めてもらいたい
  • しかし日本は道路線路網が発達していて急な搭乗者増は見込めない
  • ならば陸マイラーをも取り込んで飛行機利用頻度をあげたい

そう考えるとANAは、ソラチカルートがあることによって恩恵を受けることはあれど、何かしらのデメリットが生じているようには思えません。

ソラチカルートによる東京メトロの困りごと

メトロはもしかしたら困っていたかもしれません。

一般的な市場価値では、1マイルは2円相当、その他のポイントは1ポイント1円相当となります。

ですので、2楽天スーパーポイント(2円相当)は1ANAマイル(2円相当)に交換が出来るわけですし、2Tポイントも1ANAマイルに交換できるのです。

1ポイント1円相当というのはメトロポイントにも当てはまります。

つまり通常の考え方であれば、2メトロポイント(2円相当)が1ANAマイル(2円相当)となるはずですが、ソラチカルートでは2メトロポイント(2円相当)は1.8ANAマイル(3.6円相当)で交換が出来てしまいます。(マイル還元率0.9倍

メトロとしては他社から2ポイント2円で手に入れたものを、ANAには3.6円支払って交換していることになるので、2ポイント毎に1.6円の損失が出ている可能性があります。

もちろん、東京メトロとANAとの提携条件の中でそのあたりが考慮されており、2メトロポイントは3.6円ではなく、3円ぐらいで取引されているのかもしれません。

ただ、実際に使用できるマイルの価値換算(1マイル3円〜10円以上)を考えると、本来2メトロポイント→1.8マイルは3.6円相当だけど、メトロポイントの価値換算に合わせて2円でいいよ。1.6円割り引いてあげるねとはならないと思います。

約45%割引になってしまいますからね。

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ANAから若干の割引はあるにせよ、東京メトロとしては顧客囲い込みの為にANAマイルの知名度や陸マイラーを取り込みたいとの思惑も働いて、ある程度は身を切っている可能性もあります。

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その代わりメトロとしては、乗客数の増加を期待していたはずです。

メトロポイントからANAマイルへの交換率の高さばかりが目立ちますが、ソラチカカードではANAマイルからメトロポイントへの交換も等価で出来るのです。

東京メトロとしてはマイルを貯めている人たちが、そのマイルをメトロポイントに交換して地下鉄に乗ってくれるかもしれないという期待値もあったのでしょうか。

もちろん、せっかくソラチカカードを手に入れたわけですから、これから東京メトロに乗るときはこのカードを使ってみようと思って使っている人も少なからずいるでしょう。

ただし、それは既存の乗車顧客の支払い方法が変わっただけで、新たな顧客の開拓にはつながりません。

飛行機とは違い、同じ目的地に向かうのに、JRに乗ろうか?東京メトロに乗ろうか?と考える人はあまりいません。

もっとも早いルートや手段を選択した結果、東京メトロを選択することもあるでしょうが、ソラチカカードを手に入れたから、これからは積極的に東京メトロに乗ろう!と思うには、あまりにも乗車ごとにもらえるポイントが少なすぎます。

東京メトロの地下鉄網は首都圏に集中していて、その利用目的の多くは通勤通学です。

観光目的で使うことが非常に少なく、メトロポイントを貯めて家族で旅行に行こうかとはならないわけです。特に東京メトロは。

そうすると、東京メトロとしてはソラチカカードを発行した結果、思ったより新規の乗客が増えないばかりか、他社ポイントからANAマイルへの中継地点として利用されてしまうと、ポイント価値の差額分だけ損失が積み重なってしまい困った事態になっていたとも考えられます。

その為に、これまでソラチカルートの改悪の可能性については、このルートの交換率が引き下げられるのではないかという話が多かった訳です。

ソラチカルートの交換率は改悪せずとも、他のポイントサイトとの提携を打ち切ることでメトロポイントが単なる中継として使われる頻度を減らせば、ポイント価値の差額分に関する悩みは解消されるのかもしれません。

引き続きメトロポイントからANAマイルの高い交換率という差別化要因は残りますし。

もしかしたら、東京メトロは本気でソラチカルートの交換率引き下げを考えていたのかもしれません。

ただ、このカードの発行の1番のウリがメトロポイントからANAマイルの交換率の高さということもあり、そのウリをなかったことにしてしまうのは、カード発行会社のJCBとしては受け入れがたいものだったはずです。

  • 新規乗客増を期待してソラチカカードを発行した
  • 新規乗客は増えずに中継として利用されるだけになっていた
  • この中継にかかるコストが重くのしかかっていた
  • 交換率の引き下げはJCBが難色を示した

つまり私の想像としては、ソラチカルートの現状を変えたいと最も望んでいたのは東京メトロだが、ウリである交換率の高さを下げることに関してJCBが首を縦に振らなかったので、折衷案として各ポイントサイトとの提携を解消することで、メトロポイントが中継として使われる事態を解消しようとしたのではないかと思っています

ソラチカゴールドの登場がそれを裏付けているような気もします。

ソラチカルートによるJCBの困りごと

カード発行元となるJCBはどうでしょうか?

クレジット決済で使用されない限り決済手数料は入ってきません。

しかし、一般グレードのクレジットカードでは年会費は無料というものが多い中で、ソラチカカードは2,000円の年会費が発生します。

2,000円と言えば格安ゴールドカードが作れる年会費となりますが、カード種別はゴールドではありませんので、カードに付与してくる特典も年会費無料のカードと大差がありません。

今、世の中には数百種類と言われるクレジットカードがあり、どこも会員数の獲得に必死になっている状態です。

その為、ハピタスやモッピーなどのポイントサイトでもクレジットカード案件は次々と出てきて途切れることがありません。

そんな中、このソラチカカードはポイントサイトで広告宣伝をしなくても、メトロポイントとANAマイルの高い交換率ということだけを目当てに、年会費を払って会員になってくれる人がたくさんいました。

上述の通り、ショッピング利用における魅力が薄いところがありますので、クレジット決済による手数料収入は少ないかもしれませんが、このカードが年会費無料でないのは、最初からそれを見越していたのではないかと思っています。

JCBがもし、ショッピング利用を増やしたいと思うのであればOki DokiポイントからANAマイルへの交換率を上げればいいだけです。

少なくとも、各ポイントサイトからメトロポイントへの交換を打ち切ったところで、ソラチカカードのショッピング利用頻度が上がるわけではありません。

むしろ、解約の恐れがあるため、今後JCBとしては毎年入ってきていた1人あたり2,000円の年会費が失われるかもしれないのです。

JCBのキャンペーン情報
ソラチカルート閉鎖もしくは改悪のお知らせのあと、JCBからキャンペーンのお知らせが届きませんでしたか?
私のところには、ソラチカカードを対象としたキャンペーン情報が届きました。

このカードの一番のウリが何度も述べているように、メトロポイントからANAマイルへの交換率の高さです。

JCBのOki Dokiポイントの交換率が高いというのであればまだしも、交換率が高いのはメトロポイントからですので、このカードのターゲットは最初からショッピング利用者ではないのです。

JCBとしては現状維持が最もよかったのではないでしょうか。

ソラチカルートが有名になるにつれてカード保有者が増え、自然と年会費が集まってくる状態になってきます。大した宣伝をしなくても、陸マイラーたちが勝手に宣伝してカード保有者を増やしてくれるのです。

それほど期待していないとは言っても、カード保有をきっかけにショッピングやキャッシングなどでソラチカカードを使ってくれる人も多少なりともいることでしょう。

JCBとしては、他にもカードを沢山運営していますので、ソラチカカード1枚の運営にかかる費用など、大きな負担にはなっていないはずです。

2017年12月にPONEYというポイントサイトにソラチカカードの発行案件が久しぶりに掲載されました。

メトロポイントと各ポイントサイトの提携終了の発表はその翌年2018年の1月9日のことです。

常識的に考えて、その1ヶ月前である2017年12月の時点では、JCB、東京メトロ、ANAともに、ソラチカルート閉鎖についての協議が終わっており、3社とも合意を済ませた上で1月9日の発表に備えていたはずです。

つまり、ポイントサイトとの提携が終了すると理解した上で、あえてポイントサイトに広告を掲載し会員を集めようとしていたわけです。

この広告主はおそらくカード発行会社であるJCBでしょうし、広告を出したいと思ったのも間違いなくJCBでしょう。1ヶ月後にソラチカルート閉鎖の発表を行うという状態では、少なくともANAにとってはソラチカカードの会員を集めるメリットはほぼありません。

2018年4月以降はメトロポイントからANAマイルへの流入がほぼなくなる、つまり、ソラチカカードの保有者を増やしたところで、今後陸マイラーがこのルートを通ってANAに行き着くことはなくなるのですから。

1ヶ月後の発表(1月9日)によって、今後ソラチカカードの解約者が出るであろうことは明白ですので、その前に会員を集めようとしたのだと思います。

JCBとしては解約者に伴ってカード発行枚数が減る前に、少しでもカード発行数を増やしておこうというのは当然の思惑でしょう。

そう考えると、JCBとしては解約者が減り、年会費収入が減ってしまう今回の発表は本望ではなかったのかもしれません。

東京メトロの強い要望によってソラチカルートを閉鎖することになってしまったものの、なんとかメトロポイントからANAマイルの交換率が高いというウリだけは残す形で、各ポイントサイトとの提携を打ち切ることにした。仕方なく。

しかし、そんな東京メトロのワガママ(?)でカード発行枚数が減ってしまうのはJCB担当者としては避けたいため、発表前にポイントサイト上に広告を出して少しでもカード発行枚数の純減を食い止めようとしたのではないでしょうか。

ソラチカルートを閉鎖したかったのは東京メトロである(という仮説)

このカードは3社間の思惑が複雑に入り乱れてくるので、物事は単純ではないかもしれませんが、ここまで見てきた私の仮説に基づくと、ソラチカルートがあることによるそれぞれの思惑は以下の通りとなります。

  • ANA:ソラチカルートによってもっと陸マイラーを取り込みたい
  • 東京メトロ:中継されるだけでコストもかさみ乗客も増えない
  • JCB:何もしないで年会費収入が入ってくるから維持したい

結局、ソラチカルトートを閉鎖したい動機を持っているのは、東京メトロだけなんじゃないかというのが私の結論です。

今回のソラチカルート閉鎖に伴って、今後メトロポイントからANAマイルの高い交換率もいつまで続くか分からないという人もいますが、この仮説でいくと、メトロポイントからANAマイルへの交換率が下がることはないということになります。

なぜなら私の仮説ではメトロポイントからANAマイルへの交換率を下げるというのが東京メトロの改善案でした。

ANAとしては多少交換率が下がっても0.7倍程度であれば他との優位性も保てるので合意できる範囲でした。

しかしJCBがカードの1番のウリを無くすことに反対でした。

結果、各ポイントサイトとの提携終了という今回の発表に落ち着いたのですから、さらにここから交換率も下げるということはないでしょう。

nimocaカードの登場について

nimocaカードが三井住友カードから発表されたのが2017年12月です。

先のソラチカカードの広告掲載時期とほぼ同じです。つまり妄想を膨らませてこのあたりに起こった事象を時系列に並べてみると

  1. 2017年11月:ソラチカルート閉鎖の3社合意
  2. 2017年12月:ポイントサイトにソラチカカードの広告案件を掲載
  3. 2017年12月:nimocaカードの発表
  4. 2018年1月:ソラチカルート閉鎖の発表
  5. 2018年3月:ソラチカルート閉鎖(ポイントサイト提携終了)

2017年11月というのはあまり根拠はありません。状況から考えて2017年11月以前であったことは間違いないと思いますが、2017年12月に起こっている事象に対してどれほどの準備期間を要したのか分かりませんので、仮に11月と置いてみました。

本心としては、日本の企業の決裁スピードの慎重さから考えて2017年春ぐらいからは、ソラチカルート閉鎖に関する3社協議は始まっていて、秋口ぐらいには決まっていたのではないかと睨んでいます。

2017年12月に発行を開始したnimocaカード発行の仕掛け人は、おそらくANAではないでしょうか。もしくはJCBと競合している三井住友カードという可能性もありますが、その場合は、ソラチカルート閉鎖の情報が事前に漏れていたということになりますし、ANAが仕掛け人であることの方が、しっくりきます。

今回の東京メトロから要望があがった(と想定される)ソラチカルートの閉鎖に向けて、JCBは広告を出してソラチカカードの加入者増に動き、ANAは同時期に別ルートの開拓に動いたと捉えることが出来ます。

飛行機に搭乗する人がANAの真の顧客となりますが、飛行機には搭乗せず陸でマイルを貯めて、その結果として飛行機を利用してくれる陸マイラー達は、通常のアプローチでは届かないところに顧客層を拡げてくれるビジネスチャンスとなります。

また、他社でポイントを貯めてマイルに交換する人が増えるということは、ANAとしてはマイルを多く売りさばけるということになります。

先述の通り、日本の地理的状況と交通網に起因して飛行機搭乗者数を増やしていくのは非常に困難なことですので、空ではなく陸で活動している人たちを囲い込めるのは、ANAとしては願ったり叶ったりです。

航空業界といえども、普段から出張や旅行などで飛行機を使う人達だけを相手に商売していては拡がりがなく苦しいのです。

ハピタスなどで大量にポイントを貯める人がいる、そのポイントを大量にマイルに変える人がいる、ANAは大量にマイルが売れる、マイルを売ることで見込み顧客を増やすことが出来る。

そのANAにとって、ソラチカルートの今回の対応はやはり苦々しいものになっていることでしょう。

nimocaカードもソラチカカードと同様に交通系カードと提携し、交換倍率がソラチカルートほどではないにしろ0.7倍と他と比べて高い交換率を誇ります。

ANAがソラチカルートの代替としてnimocaルートを視野に入れていることは十分に考えられます。

なぜならANAにとって大事な顧客候補である陸マイラーたちが、ソラチカルートがなくなったのであれば、これからはJALマイルに交換するという選択肢もあるよね、という事態になってしまっては大変です。

(実際、今そうなりかけているかもしれませんが。)

nimocaルートの交換率が0.7倍であることから読み取れるのは、ANAとしてはメトロポイントからANAマイルへの交換率は0.7倍程度にまで下げてでもソラチカルートは維持したかったものだと思われます。

東京メトロがどれほどソラチカルートを閉鎖したかったのか分かりませんが、少なくとも現状よりは改善されるはずですので一考の余地はあったことでしょう。

しかし上述の通り、カード発行会社であるJCBとしては、1番のウリである高い交換率を下げることは許されないことですので、ANAから交換率を下げる提案があっても受け入れることは出来ないでしょう。

ソラチカルート閉鎖に伴う協議の中で、このようなANAとJCBとの対立構造があったことも想像できますので、nimocaカードの発行会社が三井住友カードになっているのもの、その辺りに一因があるような気がします。

ソラチカカードとnimocaカードではANA側の担当者が違っていたから、というだけの理由も十分あり得るのですが。

あえてドラマティックに考えるとすると、以下のような構図が読み取れます。

  • 交換倍率を0.7倍に下げることで現状の問題を改善したい東京メトロ
  • 交換倍率を下げてソラチカルートが維持できるのであれば維持したいANA
  • 交換倍率だけはカード発行時の売り文句なのでメンツにかけて下げたくないJCB

nimocaカードがソラチカカードの有力な後継者

今後ANAとしては、陸マイラー囲い込みの手段として、ソラチカルートの代わりにnimocaルートに力を入れてくることも考えられます。

nimocaカードも3社提携カードということで、ANA1社のみの思惑では物事がなかなか動きませんので、nimocaルートがソラチカルートの後継として育つまでは多少時間がかかるような気がします。

もしANAがソラチカルートの代わりにnimocaルートに力を入れるとするならば、まずなんとかしないといけないのがマイルへの交換システムです。

一部地域の交換機でしかANAマイルに交換できないという現状は、ANAがnimocaルートで陸マイラーを囲い込み続けたいと思った際に、まず最初に取り組まないといけない課題でしょう。

陸マイラーがANAマイルへ交換するために頻繁に飛行機を使って九州に行ってくれるだろう。そうすれば、今まで以上に陸マイラーがANAの業績に貢献してくれるだろう。とANAが楽観視していたら中々面白いんですけどね。

実際のところマイルを貯めるためにマイルを使って九州にフライトするというのは、現実的ではありません。

近いうちにネット上でANAマイルに交換できる日が来るだろう、と私は睨んでいました。

nimocaカードの反乱?

今回発表のあったメトロポイントとポイントサイトの提携終了、すなわちソラチカルート閉鎖の期限が2018年3月31日となっていますので、ANAの目標としては2018年4月1日からnimocaポイントがネットで交換できるようにしたいと思っていたはずです。

まず、nimocaポイントをネットでANAマイルへ交換できるようにするためには、nimoca側でのシステム対応が必要になってくるはずです。

ANAは現状でも他のポイントの交換受付を展開しており、そこにnimocaポイントが追加されるだけですので、システム投資はそれほど大きくなりません。

しかし、nimoca側にとってはゼロベースでANAマイルへの交換システムを構築しないといけませんので、お金も時間も相当かかってくるものと思われます。

そして、ソラチカルートで東京メトロが困っていたように、ポイント価値の差額による損失を控えたいと思うのであれば、nimoca側としてはANAマイルへの交換窓口を増やしたくないという本音もあるでしょう。

ANAマイルに高い還元率で交換ができるカードですよと宣伝して会員を集めておいて、でも実際にはなかなかANAマイルには交換が出来ないという状態がnimoca側にとっては良いのかもしれません。

実際、2021年に入ってもnimocaの交換は九州の一部+函館から拡がる気配をみせません。

nimocaとしてもソラチカの前例があるので、ANAとの提携とマイルへ交換できるという旨味だけは残しつつ、単なる中継地点になることを避けるためにも、マイルへの交換を一部地域に限定する、そしてネット対応しないというのが大きな方針のような気がします。

TOKYUルートの登場

そんな中2019年後半に開通したのがTOKYUルートです。

nimocaルートを若干上回る、マイル交換率0.75倍です。

現時点ではソラチカルートの正式な後継はTOKYUルートと目されていますが、nimocaルートを含めたこれまでの変遷にどう関係していたのかがよく見えません。

ルートの開通自体は2019年からですが、TOKYUポイントからANAマイルへの交換はもっと以前から行うことが出来たと思われます。

ここは、私もルート開通まではTOKYUポイントに着目していませんでしたので定かではありませんが…

いずれせによ、nimocaルートの0.7倍あたりが妥当な交換率だと思われていましたので、TOKYUルートの0.75倍は絶妙なラインなのかもしれません。

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TOKYUルートでANAマイルを交換

周辺のうごき

東京メトロ側から提携を打ち切られた4つのポイントサイトも、今後何かしらの動きが必要となるでしょう。

  • ネットマイル
  • PeX
  • Gポイント
  • ドットマネー

この中で、ソラチカルートで活用されていたのは「ドットマネー」と「PeX」です。

以前まではメトロポイントへの交換に手数料が発生していたPeXは、ドットマネーと比べると陸マイラー利用者が少ない状態ですので、今回の発表で最もダメージを受けるのはドットマネーということになります。

またPeXはドットマネーと比べて提携交換先を多く持っており、メトロポイントへの交換が出来なくなったとしても、代わりの交換先として100以上の提携先は残ったままです。

しかし、ドットマネーはPeXほどの交換先は持っておらず、メトロポイントへの交換が無料で出来るというところに強みを持っていましたので2018年4月以降は苦しい状況になりました。

つまり、同じポイント交換サイトでありながら、ドットマネーの方がより、ソラチカルートという1つの交換先に大きく依存してきていました。

そこで手を打ってきたのがTOKYUルートの開通です。

実はTOKYUルートの開通とは、TOKYUポイントからANAマイルに交換できるようになったタイミングではなく、ドットマネーからTOKYUポイントへ交換ができるようになったタイミングを意味します。

一時期、ソラチカルートの代わりとして重宝されたLINEルートでは、ドットマネーは存在感がありませんでした。

ところが一転、LINEルートが閉鎖になると時を同じくしてTOKYUルートが開通することで、陸マイラーにとって再びドットマネーが必須のポイント交換サイトへ急浮上です。

ここにANAがどう絡んでいたのかは分かりません。

しかし、ANAとしては陸マイラーを囲い込むルートが再び安定したことでホッと胸をなでおろしているでしょう。

同時にnimocaルートの今後のさらなる発展が見込めなくなったかもしれません。

一口にTOKYUルートといっても、ここにも色々な関係者が複雑に入り乱れているような気がしてなりませんね。

編集後記のような

いつも書いているポイントサイトやANAマイルに関する情報は、調査にかなりの時間を費やして極力誤った情報にならないように注意しています。

しかし、本記事は調査はほぼしておらず「考える」ことに重きをおいて考察記事としました。

私自身はカード会社関係者でもなければ鉄道会社関係者でもなく、もちろん航空業界の関係者でもありません。

まったくの第三者という立場から、過去に起こった事象ひとつひとつに意味を見出し、その点と点を結びつけるようにして結論を導いてみました。

いずれにせよ推察に推察を重ねた上での内容になりますので、どこまで事実を含んでいるのかは分かりませんが、少なくとも私の心の中ではこれを真実として捉えておくことにしたいと思います。

ポイントサイトの比較やマイルを貯める方法などで当サイトに行き着いた方は、ぜひ他の記事も色々と読んで参考にして頂ければと思います。

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