ハピタスフレンド制度の考察

ANAやJALのマイルを貯めている陸マイラーから絶大な支持を誇るポイントサイトの「ハピタス」。

最近、制度の改定がリリースされました。

ハピタスに限った話ではありませんが、ポイントサイトを活用してマイルを貯めるというのは王道中の王道。

某芸能人ならいざしらず、一般人である私たちが頑張ってフライトを重ねたとしても、何回も海外旅行に行けるだけのマイルを貯めるのは至難の業です。

例えばハピタスを活用してANAマイルを貯める場合、毎月23,500ポイントをLINEポイントやメトロポイントに交換しつつ、毎月18,000マイルを貯めることができます。

ハピタスからANAマイルへの交換方法

年間にすると216,000マイルです。

LINEルートが終了し現在の主力は「TOKYUルート」になります。毎月3万ポイントを交換して月21000マイル、年間で252,000マイルを貯めることが出来ます

最近ANAがA380の大型機、フライング・ホヌを導入して話題になっているハワイ。

そのハワイに、ビジネスクラスで特典航空券を手配すると一人65,000マイルですので、3人で行くことが可能です。

もちろん他にもモッピーやGポイントといった大手のポイントサイトがありますが、ハピタスといえば陸マイラー達の間では有名な老舗ポイントサイトです。

そんなハピタスで2019年7月30日にリリースされた新しい制度が若干いわくつきですので、本記事で考察してみたいと思います。

新しい制度は、ほぼすべての利用者にとって大きな改悪になってしまうでしょう。

そんな新しい制度は「ハピタスフレンド

詳しくみていきましょう。

一度は改悪された紹介制度ですが、あまり評判が良くなかったのか(?)元に戻りました。以下の記事は参考までに。

ハピタスフレンドとは?

新しい制度の「ハピタスフレンド」とは、一言で言えば友達紹介制度です。

どのポイントサイトでも紹介制度があり、多くの人を紹介すると紹介した人の数などによってポイントを得ることができる制度です。

様々なポイントサイトが、会員を集めるための手法として活用しています

従来ハピタスには「ハピ友」という紹介制度があり、その後「シェアハピ」という紹介制度が追加されていました。

まずは従来からある友達紹介制度について軽く触れておきましょう。

ハピ友制度とは?

ハピタスの前身のサービス時から存在する紹介制度です。

多くの人にとって、ハピタスの紹介制度と言えばハピ友制度を指します。

細かな条件はさておき、特徴の概略としては以下のとおりです。

  • 一人紹介すると100ポイントがもらえる
  • 紹介された人も30ポイントがもらえる
  • 紹介した相手が貯めたポイントの10〜40%のポイントがもらえる

一番大事なのは最後に挙げた特徴です。

私があなたを紹介し、あなたがハピタスで10,000ポイントを獲得したとします。

すると、紹介者である私にも10,000ポイントの10~40%にあたる1,000~4,000ポイントが入ります。

パーセンテージは過去に紹介した人の累積人数によって以下のように決まってきます。

ステージ紹介した人数ポイント率
ステージ 81,000人40%
ステージ 7500人40%
ステージ 6100人40%
ステージ 550人35%
ステージ 410人30%
ステージ 33人25%
ステージ 22人15%
ステージ 11人10%

ステージが8段階に分かれていますが、紹介した人数が100人を超えるとポイント率は40%から変わりませんので、実質6段階です。

私はおかげさまで既にハピ友が1,000人を超えていますので、この制度においては永久的にポイント率40%が約束されていることになります。

私が紹介した相手の方がハピタス上で前月にポイントを貯めることで、自動的に私にもその40%が還元されてきます。

そしてこれが毎月続いていきます。

もちろん、各月ごとに紹介した相手の方が稼ぐポイント数は違いますので、私に還元されるポイント数も一定ではありませんが、少なくとも40%というポイント率は変わりません。

他のポイントサイトも多くはこのような仕組みをとっています。

シェアハピ制度とは?

シェアハピ制度とは最近追加された制度です。

おそらく追加されたのが1年ほど前だったような気がします。

細かい条件を除いた概要は以下のとおりです。

  • 一人紹介すると700ポイントもらえる
  • 紹介された人も700ポイントもらえる

紹介した側も紹介された側も1回のみポイントがもらえる仕組みです。

紹介される側としては、こちらの制度の方がポイントが多くもらえるというメリットがあります。

ただし、紹介する側としてはシェアハピ制度の方が旨味が少なく、多くの人がハピ友制度を利用しています。

そのため、実際にシェアハピ制度で紹介される人も少ないかもしれません。

1回でもらえるポイントは700ポイントと、一見するとハピ友制度よりも多いです。

しかし、ハピ友制度で紹介した人数が最低の1人だったとしても、その1人がハピタスサイトを通じてクレジットカードを発行し10,000ポイントを獲得するかもしれません。

そうすると最低ポイント率の10%で計算しても1,000ポイントが還元されます。

当然、その紹介した相手の方が翌月以降も何らかの活動を行えば、その10%がポイントして還元され続けます。

シェアハピ制度とは「紹介される側」にとってのみメリットがある制度です。

実際にどちらの紹介制度を利用するかを決める立場にある「紹介する側」から見ると、圧倒的にハピ友制度の方がお得なのです。

ハピタスフレンド制度登場の経緯

今回発表された「ハピタスフレンド」という制度は、どういった経緯をたどって表舞台に出てきたのでしょうか?

少しずつ紐解いていきましょう。

表向きの理由は「ハピ友」「シェアハピ」の2つの紹介制度があるために、利用者が混乱するというものです。

もちろん、そういう側面もあるのでしょう。

しかし実情としては、思ったほどシェアハピ制度の利用者が伸びなかったことにあるのではないかと思っています。

ハピ友制度とシェアハピ制度

そもそもシェアハピ制度が登場した経緯も関係してきます。

先ほど述べた通り、「紹介する側」としてはシェアハピ制度よりもハピ友制度を利用した方がお得です。

ハピ友制度を使い倒している人になると、毎月数十万以上のポイントを紹介だけで稼ぎ出しています。

これがハピタス運営会社の経営に与えるインパクトも相当なものだと思います。

サービスを利用してポイントを付与する分には、スポンサー企業から支払われる広告費で賄うことができます。

しかし、友達紹介制度で付与するポイントには直接的なスポンサー企業がいるわけではありません。

運営会社の経費として処理しなければいけません。

経営数値の話をしだすと複雑で細かくなるので割愛しますが、競争の激しいポイント業界にあって、将来を見据えてテコ入れしようとするのは、ある意味企業努力としては正しい姿です。

そこで、紹介者に対するポイント負担を減らすために導入されたのがシェアハピ制度でした。

シェアハピ制度ではあれば、何人紹介してもらっても1回だけ700ポイントを付与するだけで良いので、ポイント負担も少なく済みます。

しかし、運営側の目論見通りにはシェアハピ制度の利用は伸びなかったと思われます。

「紹介する側」のメリットが少ないことが明確すぎたからです。

ハピタスフレンドは得か?損か?

さて、ではハピタスフレンド制度に移行することで、「紹介する側」としては従来より獲得できるポイントが減ってしまうのか?それとも増えるのか?

実はこの制度の良くない点は、利用者にとってこれまでよりもお得なのか損なのかが、よく分からないようになってしまっているところです。

ハピタスフレンドのポイント

新しい評価基準であるハピタススコア

新しいハピタスフレンドという制度がどういうものかは公式サイトをご覧いただければと思いますが、紹介者がもらえるポイント率の算定方法は以下のようになっています。

  • 還元されるポイント率は「ハピフレスコア」によって決定される
  • ハピフレスコアは以下の算定式で求められる
  • [{(「前月の新規紹介登録者数」-「前月の新規紹介登録者数平均値」) ÷「前月の新規紹介登録者数標準偏差」+50} + {(「前月の広告利用者数」-「前月の広告利用者数平均値」) ÷「前月の広告利用者数標準偏差」+50}] ÷ 2

分かりましたか?

おそらく多くの人は、これを見てもよく分からないでしょう。

この誰も分からないであろうルールを意図的に打ち出しているとしたらかなり悪質です。

しかし、それにしてはあまりにも露骨ですので、おそらく色々な検討を重ねた結果として、よく分からない算定式が出来上がったのだと想定されます。

ただ、どういった結果になるのかは算定式のすべてを理解しなくても、ある部分に注目するとおおよそ外観が見えてきます。

算定式の中で注目していただきたいのは「平均値」という言葉と「標準偏差」です。

ハピフレスコア算定のシミュレーション

まず分かりやすいのは「平均値」です。

あなたが前月に紹介した人の数が、他の人が紹介した人の数の平均値を下回ると計算式がマイナスになる箇所があります。

つまりハピフレスコアを稼げる人は平均値を超えている一部の人になります。

これはよく平均年収の話題でも言われることですが、平均値というのは一部の極端な人によって大きく歪められることがあります。

平均値 = 中央値ではありません。

例えば100人の会員がいるとします。

その100人全員が、紹介した人の数が10人だとすると、当然平均値は10人です。

ハピフレスコア算定の一例

ところがこの内の1人が飛び抜けていて、紹介した人の数が5,000人となると平均値は約60に上昇します。

つまり残り99人の人は、平均値をかなり下回ります。

ハピフレスコアの算定例

このような場合、ハピフレスコア算定式においても、平均値が含まれる計算式の部分は、極端な1人のみがプラス評価、残り99人はマイナス評価となります。

ただしこのように、紹介した人の数のばらつきが大きい場合、もう一つの注目ワードである「標準偏差」が大きくなります。

標準偏差は統計用語なので耳にしたことはあるかもしれませんが、日常生活ではあまり使用しないものです。

おそらくほとんどの人が「標準偏差って何?」と聞かれても即座に答えられないでしょう。

標準偏差とは数の分布の拡がり具合を意味します、

例えば紹介した人の数が全会員同じぐらいの人数であれば小さくなり、紹介した人の数の差が大きくなれば、標準偏差も大きくなります。

先の例で、100人全員の紹介した人の数が10人だと、平均値は10人だと述べましたが、このケースではばらつきが一切ないので、標準偏差はゼロになります。

では、実際ハピタスにおける紹介者数のばらつきはどの程度でしょうか?

以前ハピタスでは会員獲得キャンペーンのような形式で、紹介した人の数をランキング形式にして競わせていたことがあります。

その時のランキング上位者は、毎月の紹介者数が数百人を超えていました。

これはあくまで上位者の話です。

ハピタス利用者すべてが毎月数百人の紹介者を獲得しているわけでないことは言うまでもないでしょう。

そうすると、結果として「平均値」は一部の上位者の影響で大きくなり、同様に「標準偏差」も一部の上位者の影響で大きくなると想定されます。

ハピフレスコアの平均値と標準偏差

さらにこの平均値と標準偏差は毎月大きくは変動しないでしょう。

ハピタス会員数の母数もそこそこありますので、実際には平均値も標準偏差もある一定数値に集約されていきます。

つまり、この制度を発表した時点で運営会社は、毎月の平均値と標準偏差についてはおおよそ予想ができています。

このハピタスフレンドという制度によって、紹介者にどれぐらいポイントを支払う必要があるかも、だいたい分かっているでしょう。

一方、利用者は平均値も標準偏差も知るすべがありません。

さて、実際この制度によって結果はどうなるでしょうか?

紹介者数の多い上位者の場合

まず上位者の方は、紹介した人の数は平均値を超えるので平均値から求める算定式の部分はプラスになります。

算定式ではこれを標準偏差で割っているのですが、標準偏差が大きいため求められたプラスの数値は限りなく小さい値になるでしょう。

上位者としては、紹介を頑張れば頑張るほど標準偏差が大きくなり、大きな値で数値が割られてしまうので、どんどんスコアが下がっていく結果となります。

ただし、最後に+50という足し算が加わりますのでハピフレスコアは50以上にはなるでしょう。

紹介者数の多い上位者のハピフレスコア

ハピフレスコア50ではポイント率が10%になります。

従来のハピ友制度で、紹介した人が1人のみの方のポイント率と同等です。

上位者はこれまでポイント率は40%にすでに達していたはずですので、急にスタートラインが10%まで下げられた形になります。

間違いなく、ほとんどの上位者はこれまでよりもポイント率は下がり、ハピ友制度と比べると獲得できるポイント数が激減することになるでしょう。

尚、算定式全体では同じような計算式2つが足されて最後に2で割っていますので、算定式の後半部分、「前月の広告利用者数」~というところは割愛しています。

上位者以外の一般会員の場合

上位者以外のほとんどの方は、紹介した人の数が平均値を大きく下回るので、平均値から求められる算定式部分はマイナスからのスタートとなります。

ただし、標準偏差は大きいので、そのマイナスが大きな数値で割られて小さなマイナスの値になります。

最後に+50が足されるのですが、そもそもマイナスからのスタートなので、ハピフレスコアが50を超えることは出来ません。

一般会員のハピフレスコア

ハピフレスコアが50を超えない最高値49であったとしてもポイント率は9.8%です。

多くの方のポイント率はもっと低くなるでしょう。

これはハピ友制度における最低ポイント率の10%を下回ります。

つまり、間違いなくほとんどの方はこれまでよりもポイント率が下がります。

シミュレーションまとめ

少々話がややこしくなってしまいましたが、算定式自体が分かりづらくなっているので仕方ありませんね。

ざっくりまとめると以下のとおりです。

  • 紹介者数上位者:ポイント率は従来より激減
  • その他の会員:ポイント率は従来より微減

結果として、従来のハピ友制度と比較しメリットを享受できる人は、ほとんどいないということが分かりますね。

この計算式は一見複雑に見えますが、要は平均値で引いて標準偏差で割ると、結果の数はゼロに近くなります。

結局スコアに影響するのは、算定式の中の+50だけです。

つまり、皆さんのハピフレスコアはだいたい50です。

これはポイント率では10%になりますので、ハピタスフレンド制度におけるポイント率は、ほとんどの方が10%前後になるでしょう。

ハピタスフレンドのもうひとつの落とし穴

もうひとつ注目すべき点があります。

ハピ友制度では過去の紹介累積人数でポイント率が決まっていました。

ところがハピタスフレンド制度からは、過去にどれだけの紹介数を獲得していても、それは一切考慮されず、あくまで「前月」実績のみが評価されます。

これはシェアハピ制度に近い考え方ですが、運営側から会員に対する評価の軸が大きく転換してることを意味します。

  • Aさん:先月まで1人紹介、今月10人紹介 [評価高]
  • Bさん:先月まで1,000人紹介、今月1人紹介 [評価低]

ハピタスへの会員新規獲得という観点では、Bさんの方がトータル1,000人以上紹介していますので、サービスへの貢献度は高いです。

ハピ友制度においても、AさんよりもBさんの方がポイント率が高く多くのポイントがもらえる形なっていました。

しかし新しいハピタスフレンド制度では評価が逆転し、Aさんの方がポイント率が高くなります。

じゃあハピタスというサービスは大丈夫なの?

このハピタスフレンド制度で運営側が何を目論んでいるかは一目瞭然で、運営側によるポイント付与の負担を減らしたいということは明白です。

そこで不安になってくるのが、サービスを運営しているこの会社は大丈夫なの?でしょう。

この点でいくと、なるべく経費を減らしてハピタス内の広告サービスを提供することに資本を投下したいというのは経営判断としては間違っていません。

間違ってはいないのですが、新しい制度があまりにも分かりづらく、少なくとも「利用者視点」という見方では、残念ながら及第点とは言えませんね。

利用者視点を失った会社は市場から見放されることもあります。

素直にハピ友制度のポイント率を下げるぐらいの方が、一時的にユーザー離れを起こす恐れはあっても長期的には良かったのではないかと思っています。

まとめ

ハピタスフレンド制度のポイントをあげると以下の通りです。

  • 複雑な計算式を持ち出すことで利用者に混乱を招く
  • 標準偏差という統計学上の言葉を持ち出して利用者を錯乱
  • 平均値、標準偏差ともにおそらく利用者には非公開

結果としてハピ友制度におけるポイント付与率10〜40%が、新しい制度によって10%前後に変わりますよということです。

ポイント付与率を大幅に下げるのをカモフラージュするための算定式と思われても仕方ありませんね。

私はハピタスを愛用しているので、ハピタスの悪い面を記事にしたくないのですが、今回の制度についてはどうしても好意的に捉えることができません。

運用開始は2019年10月ということで、この記事を書いている時点ではまだ少し日があります。

また、公開されている情報も少ないため、この記事の内容は考察として多くの推測を含んでいることをご了承ください。

もしかしたら平均値は私の予測よりも低いかもしれませんし、標準偏差も意外に小さいかもしれません。

ただ、残念ながらポイントサイトはハピタス以外にも多く存在します。

この機会に乗り換えることを検討する人も多く出てきそうです。

最近マイルへの交換ルート上の中継地点として地位を挙げているのが「Gポイント」というポイントサイトです。

貯めたポイントを効率よくマイルに交換するためには、Gポイント経由LINEルートが現状では一般的です。

そういう意味ではGポイントをポイント自体を貯める場として活用するというのも一つの選択肢になるでしょう。

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