普段、国際線の「プレミアムエコノミー」クラスを利用することがありますか?
プレミアムエコノミーとは、エコノミークラスとビジネスクラスの中間にあたるもので、ビジネスクラスほど運賃は高くはないけれど、エコノミークラスよりはサービスが充実している、そんな予約クラスになります。
2018年4月にANAが「Bid My Price」という仕組みをスタートさせました。
これは、エコノミークラスからプレミアムエコノミーにアップグレードするための入札制度です。
本記事では、ANA国際線のプレミアムエコノミーとBid My Priceサービスについて解説していきます。
プレミアムエコノミーってどんな予約クラス?
プレミアムエコノミーに搭乗したことがある人は案外少ないかもしれません。
値段、サービス、座席などがエコノミークラスとビジネスクラスの中間となる予約クラスです。
最近、各社ともビジネスクラスに非常に力を入れており、サービスが年々拡充しています。
ANAでも中長距離路線で「スタッガードシート」を採用し、全席通路に面しているように配置され、フルフラットになるのでゆっくりくつろげます。
2019年からホノルル路線に投入されるA380型機のビジネスクラスでは、家族やカップルに向けたペアシートが導入予定です。
ビジネスクラスは航空会社にとって非常に収益性の高い予約クラスです。
なるべく多くの人に利用してもらうため各社さまざまな工夫がされています。
ただ、その結果としてエコノミークラスとの格差が拡がってきています。
まさに貧富の差が、こんなところにも顔を出してきていますね。
「じゃあ、みんなでビジネスクラスを利用しよう〜」
とはいきませんよね。
サービスの差も歴然ですが、それに応じて価格差もすごいことになっています。
路線や時期によっても違いますが、エコノミークラスとビジネスクラスの価格差は2倍とか3倍どころではありません。
そこで、その間を埋めるために用意されたのがプレミアムエコノミーです。
明確な定義はありませんので、プレミアムエコノミーで受けられるサービスは航空会社によって違ってきます。
大体、ビジネスクラスの一部のサービスが体験できるようになっています。
これは「こんなに素晴らしいなら、いずれビジネスクラスに乗ってみたい!」という想いを持ってもらおうという意図もあるようです。
エコノミークラスしか利用しない人にも、ビジネスクラスを使ってもらうための架け橋のような役割を持っているのが、プレミアムエコノミーです。
殆んどの航空会社では、プレミアムエコノミーは国際線のみで提供されています。
それも比較的長距離路線が多いです。
一部、国内線でもプレミアムエコノミーを提供している航空会社もあります。
例えばJALは「クラスJ」という名称で、専用に設計されたシートを使用してプレミアムエコノミークラスを国内線でも運用しています。
機内食に関してはエコノミークラスと同じであることが多いです。
それに追加して、ビジネスクラスで提供されているアルコール類が一部選択できたり、同じくビジネスクラスで提供されるデザートが追加されたりします。
まさに、ちょっとしたビジネスクラス体験です。
プレミアムエコノミーの呼び名は航空会社によって違います。
JALでは「JALプレミアムエコノミー」、ただし国内線の場合は「クラスJ」、シンガポール航空は「エグゼクティブエコノミー」、ターキッシュエアラインズでは「コンフォートクラス」などと呼ばれています。
私はプレミアムエコノミーは、お試し体験ビジネスクラスだと思っています。
お試しとはいえ有料で何回でも利用できるやつですね。
航:「もっとビジネスクラス使ってよ」
客:「イヤだよ。高いんだもん。興味ないし。」
航:「じゃあさ、安くしとくから少しだけビジネスクラスを体験してみない?」
客:「ん〜、それぐらいの金額なら、一度は利用しみようかな…?」
客:「なにこれ!?ラウンジ最高!シート広っ!ちょ〜快適!…ビジネスクラスはさらに快適なのか〜」
客:「お金貯めて、次はビジネスクラス使ってみたいな〜」
航:「毎度あり!」
ANAのプレミアムエコノミークラスを使ってみた
私はプレミアムエコノミーを使うことはほぼないです。
なぜなら、個人でANA便に乗る場合はマイルからビジネスクラスの特典航空券を発券することがほとんどです。
仮に有償で航空券を購入することがあれば、エコノミークラスを購入するでしょう。
仕事で乗る場合も基本はエコノミークラス一択です。
必要以上の経費は許可してもらえませんからね。
プレミアムエコノミーがエコノミークラスの運賃+数千円程度であれば良いのですが、結構高いのですよね。
これは東京→シンガポールの片道運賃の差です。
プレミアムエコノミーにすると3倍も運賃が違います。
片道3万円で行けるところを、9万円として会社に申請するのはなかなか大変です。
全ての便で3倍差があるわけではありませんが、それでも倍以上はすることが多いです。
それでも以前に一度だけ、ANAのプレミアムエコノミーに搭乗する機会がありました。
この時はシンガポール出張の帰りで、お昼頃に出発して19時頃に東京に着く便だったと思います。
特に時差もありませんし、日中の便ということもあって機内では寝ること無く、映画などを見ていたと思います。
私はお酒を飲みませんし、寝るためにフルフラットにする必要もないのであればプレミアムエコノミーでも十分快適だねって思った記憶があります。
シートも足元の広さもエコノミークラスよりは断然良かったですしね。
しかし、自分で運賃を払うのであれば多分乗らないでしょう。
私がプレミアムエコノミーを利用しないであろう理由は3点あります。
価格差が大きい
やはり2倍も3倍も料金を払うのは、経済的に厳しいものがあります。
特典航空券が使えるからこそビジネスクラスで素敵な体験をしたいと思うものの、自分でお金を出さなければいけないのであれば、これは単なる移動と割り切ってしまうかもしれません。
航空会社からすると嫌な客かもしれません。
「でも、ビジネスと比べれば安いよね?」
と言われれば確かにそうです。
これが、先ほどの東京→シンガポール便のビジネスクラスの料金です。
全く同じ便に乗ったとして、各費用は以下の通りになります。
- エコノミークラス: 30,670円
- プレミアムエコノミー: 91,170円
- ビジネスクラス: 191,670円
これは…エコノミークラス一択ですね。
ビジネスクラスにするだけで運賃6倍以上、プレミアムエコノミーでも運賃3倍。
ちょっとあり得ないですね…
マイルを使った特典航空券で利用できない
最近は個人で有償航空券を購入する機会は無く、ほぼ特典航空券の利用になります。
ただ、残念ながらANAではプレミアムエコノミーの特典航空券を発券することが出来ません。
その点JALでは、プレミアムエコノミー特典航空券の発券が出来るので、マイルの使い方においてはJALの方が柔軟性が高いですね。
ただ、もしANAの特典航空券でプレミアムエコノミーが発券できるようになったとしても、利用するかどうかは微妙なところです。
欧米などの長距離路線であれば、間違いなくビジネスクラスを利用します。
東南アジアなどの中距離路線であれば、もしかして…というところでしょうか。
ただ、プレミアムエコノミーは座席数がそれほど多くないので、特典航空券枠が確保されることはないのではないでしょうか。
これが、先ほどの東京→シンガポール便で使用される「ボーイング787-9」という機材のプレミアムエコノミーのシートマップです。
座席数が少ないのが分かりますか?
この図はシートマップの一部抜粋ですので、図で見えていない8列目以前は全てビジネスクラスですし、24列目以降は全てエコノミークラスです。
全246席中、ビジネスクラスが40席、エコノミークラスが192席あり、残りのわずか14席だけがプレミアムエコノミーになります。
空港内でのサービスの恩恵が少ない
プレミアムエコノミーを利用することで空港で受けられるサービスは、主に以下のようなものになります。
- 専用チェックインカウンターが利用できる
- ANAラウンジが利用できる
- 預け入れ荷物にプライオリティ・タグを付けてもらえる
これらのサービスは、人によってはとても有意義に映るでしょう。
ただし、ダイヤモンド/プラチナ会員やSFC会員の人にとっては、全て無意味だということが分かるでしょうか。
つまり、ある程度のANA会員ステータスを持っていると、プレミアムエコノミーで得られる恩恵は全てカバー出来てしまいます。
SFC修行に人気のプレミアムエコノミー
SFC会員になるために「SFC修行」をしている人たちがいます。
プレミアムエコノミーはその様な人たちには多く利用されています。
なぜならSFC会員になるため、つまり「プラチナサービス」メンバーになるためには、多くのプレミアムポイントを貯める必要があります。
もちろん、ビジネスクラスやファーストクラスに乗って遠くまで飛べばプレミアムポイントは多く貯まります。
しかし、必要となる費用も莫大になります。
費用節約という意味ではエコノミークラスでのフライトを数多くこなして、プレミアムポイントを貯めることも出来ます。
難点は、格安チケットだと積算率が悪くてなかなかポイントが貯まりません。
特に予約クラスの低い航空券(安い航空券)では、積算率が50%程度になってしまいます。
その点プレミアムエコノミーであれば、エコノミークラスよりは若干高くなりますが、プレミアムポイントの積算率が100%です。
セールなどで格安のプレミアムエコノミー航空券を手に入れたとしても、必ず100%です。
そのため、1プレミアムポイントを稼ぐために必要な費用は、プレミアムエコノミーの方が安くなる傾向にあります。
たとえば、以下はプレミアムポイント単価を低く抑えられることで有名な、クアラルンプール発券のプレミアムエコノミーです。
運賃が69,000円です。
これを諸経費込みの82,040円で計算する人と、単純に運賃のみで計算する人がいますが、ここでは便宜上運賃で計算してみます。
端数は嫌いです。
ちなみに、スタートもゴールもクアラルンプールですので、日本在住の人はこのままではこの航空券が使えません。
この日程の前後に、別途LCCなどの別便でクアラルンプールを往復する航空券が必要になります。
重要なのは日本発着にするより、クアラルンプール発着のほうが安いということです。
どれぐらい安くなるかと言うと、往復で4万円ほど安くなります。
どちらでも、日本とクアラルンプールの往復ですので、貯まるマイルと獲得できるプレミアムポイントは同じです。
プレミアムポイントは往復で10,814ポイントです。
クアラルンプール発着は69,000円ですので、1プレミアムポイント辺りの単価は約6.4円。
日本発着にすると単価は約10円です。
ちなみに、クアラルンプール発着のエコノミークラスでは40,200円で5,006プレミアムポイントが獲得できますので、単価は約8円になります。
つまり、プレミアムエコノミーを使うことでエコノミークラスよりも快適なフライトをしながら、少ない回数で、より多くのプレミアムポイントを安く手に入れることが出来るのです。
よくSFC修行している人のブログなどでは、プレミアムポイント単価(=PP単価)が10円を下回るか?なんて書かれていますが、なるべく修行費用を安くするためにPP単価を10円以下に抑えることがひとつの指標になっています。
ちなみに「プラチナサービス」メンバーになるには、50,000プレミアムポイントが必要です。
エコノミークラスであれば日本とクアラルンプールの往復を約10回行う必要があります。
それがなんと、プレミアムエコノミーであれば5回で済んでしまうわけです。
SFC修行でも人気の予約クラスになるわけですね。
また、SFC修行を終えてSFC会員になると、24時間前のチェックイン時にプレミアムエコノミーに空きがあれば無償でアップグレードすることが出来ます。
ただしチャンスはあまり多くないようです。
私はエコノミークラスからプレミアムエコノミーに無償アップグレード出来た経験はありません。
また、2018年4月から始まった「Bid My Price」によって、ますますプレミアムエコノミーへの無償アップグレードのチャンスは少なくなっていくかもしれません。
ANAが始めたBid My Priceとは?
エコノミークラスで予約していたものを、有償でプレミアムエコノミーにアップグレード出来る制度です。
この制度はカナダのPlusgrade社と提携で提供されているサービスになります。
他の航空会社でもすでに導入実績があります。
同じスターアライアンスに加盟しているルフトハンザ・ドイツ航空やシンガポール航空なども同様の仕組みを運用しています。
いくらでアップグレード可能かは、オークションのような入札形式で決定されます。
例えばプレミアムエコノミーに2席だけ空きがあるとします。
そこに5人の方が以下のように入札したとします。
- Aさん:1万円
- Bさん:2万円
- Cさん:3万円
- Dさん:1万円
- Eさん:4万円
入札形式ですので、金額の高い人から順に割り当てられていきます。
この場合、2席に対して高い金額を付けたCさんとEさんがプレミアムエコノミーにアップグレードされます。
誰でもBid My Priceに参加出来るの?
Bid My Price(オークション)に参加出来る条件は公式サイトに記載されています。
まず、対象者は以下の通りです。
- 有償のエコノミークラス航空券
- 出発地が日本、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドのいずれか
つまり、先ほど例に上げたクアラルンプール発券の航空券は対象外です。
また、特典航空券でエコノミークラスを予約している人も対象外ですね。
前提として航空券をANAのWEBサイトで購入している必要がありますので、Expediaなどの代理店サイトで航空券を購入していても対象外になります。
さらに、対象路線も決められています。
- 日本と、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア路線を往復する路線
アメリカ発ヨーロッパ着などは対象外になります。
しかも、この条件を満たす全員にメールが送られてくるわけではありません。
この選別条件は現状では不明です。
おそらくプレミアムエコノミーの空席数によって、対象者が増減する形でしょう。
まだサービスが始まったばかりですので、対象路線などが限定的ですが、今後対象が拡がっていくことも想定されます。
Bid My Priceでの入札参加方法は?
流れとしては以下のとおりです。
- 出発7日前にメールが届く
- 入札画面にて金額指定
- 支払いクレジットカードの登録
- 結果メールを待つ
まず、対象者に出発7日前にメールが送られてきます。
当然プレミアムエコノミーに空きがある場合です。
そのメールに記載されている案内に従って進むことで、入札画面が表示されます。
この画面はニュージーランド航空のものです。
スライドバーを左右に動かして金額を調整するような仕組みになっています。
ANAも同じような画面かどうかは定かではありませんが、どちらもPlusgrade社が提供する同じシステムを利用しています。
金額は円、ドル、ポンド、ユーロの4通貨から選択が出来るようです。
さらにアップグレード出来た場合の支払いはクレジットカードになりますので、支払い情報の登録が必要です。
ただし、この時点ではまだ入札結果が出ませんので、実際の支払いは発生しません。
入札の締切が出発の72時間前なので、後は入札結果を待つ形となります。
入札結果についてはメールが送られてきます。
もし、入札に成功している場合はEMDお客様控が添付されたメールが届くようですので、従来までのアップグレード申し込みと同じ様な形になると思います。
入札の優先順位について
では、同じ金額で複数からの入札があった場合はどうなるでしょうか?
座席数1に対して、最高入札額の人が5人いたような場合ですね。
まさか、じゃんけんというわけにもいきませんので、何かしらの条件で決定する必要があります。
公式サイトによると、以下に従って最終落札者が決定されるようです
- 航空券の予約クラス
- ANA会員ステータス
- 入札実行日時
同じエコノミークラスでも複数の予約クラスがありますが、より高い航空券を持っている人が優遇されるということです。
当然かも知れませんね。
Bid My Priceの注意事項
公式サイトには、いくつか注意事項が記載されています。
- マイルの積算、旅程の変更可否はご購入いただいた航空券に適用されている運賃規則に基づきます。
- アップグレード先のプレミアムエコノミーの座席指定は事前に承ることができません(出発時刻の24時間前からオンラインチェックインにて座席指定の変更が可能な場合があります)。
- 本サービスはPlusgrade社(所在地:カナダ)との提携サービスです。必要な範囲で個人情報が共有されます。
- Plusgrade社のウェブサイトの推奨環境はANAウェブサイトと異なります。
- アップグレードへの入札は、Bid My Priceご案内メールで指定されるフライトのみが対象となります。同一旅程内に複数便の予約をいただいている場合、すべての便がアップグレードされるわけではありません。
- プレミアムエコノミー運賃をご購入いただくのと異なり、出発直前の空席状況と、お客様の入札金額に基づき、対象フライトに限り利用座席と付帯サービスをアップグレードするサービスです。その他の規定は、ご購入いただいた航空券に適用される運賃規則に基づきます。
- ご利用可能な座席数に関わらず、入札を受け付けない場合があります。またアップグレード可能座席数には限りがあります。
- 同一予約で複数名お申し込みいただいている場合、本サービスのご案内メールは代表者の方に送付されます。サービスをお申し込みいただく場合は同一予約内の全員が対象となり、合計金額には全員分の必要な税金・手数料などが含まれます。
- 同一予約内に複数の対象便がある場合、1通のメールですべてのフライトへの入札が可能です。複数ある対象フライトからご希望のフライトのみ入札いただくことも可能です。
- ご案内メール受信後に予約を変更された場合には、入札が無効となり新しいフライトへは適用されません。
- 入札の結果はメールのみでの通知となり、個別のお問い合わせは承っておりません。
- 入札が成功し、アップグレード確定となった場合のみ、お支払い手続きが行われます。
- 入札金額と追加で必要な税金・手数料は、当サービスのパートナー会社であるPlusgrade社(所在地:カナダ)より請求させていただきます。尚、お客様とクレジットカード会社との契約、選択いただいた決済通貨によっては別途事務手数料などが発生する可能性がございます。詳細は、ご契約のクレジットカード会社へとお問い合わせください。
- アップグレード確定後は、変更・払い戻しおよびマイルやポイントを利用してのアップグレードもご利用いただけません。
- ご出発4日前(96時間前)までは、入札内容の変更・キャンセルが可能です。
結局、入札には参加したほうがいい?
結論から言うと、入札参加メールがきたら参加した方が良いでしょう。
まずはどれぐらいの落札価格になるか気になりますね。
対象路線や時期などによって落札条件も大きく変わってきそうです。
アリタリア航空で同様の仕組みを利用した人のコメントでは、イタリア~ソウルまでのフライトのアップグレードを330ユーロで落札出来たそうです。
4万円ちょっとですね。
また、別の人のコメントではフランクフルト~香港路線でプレミアムエコノミーへのアップグレードを450ユーロで落札したそうです。
6万円弱です。
もうちょっと安く落札出来ている人もいましたが、海外の事例では4万円〜6万円ほどで落札したという情報が多かったです。
長距離路線におけるエコノミークラスとプレミアムエコノミーの差額は10万円~20万円ほどになります。
6万円あたりで落札出来たら、正規にプレミアムエコノミー航空券を購入するよりは4万円以上お得ということになります。
また、海外の航空会社ではビジネスクラスへのアップグレードに、このシステムを導入しているところもあります。
例えばルフトハンザ・ドイツ航空ではエコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレード入札が出来るようになっています。
とある人のコメントでは、ロサンゼルス~ミュンヘン路線でビジネスクラスにアップグレードするために限度額いっぱいの1,090ドルを入札したそうです。
約12万円弱ですね。
ビジネスクラスへのアップグレード入札の上限額としては安い気がしますが、真相は分かりません。
あとは、プレミアムエコノミーにどれだけの価値を見出すかですね。
私なら入札のチャンスがあれば、とりあえず入札はしてみると思います。
しかし、どんなに高くても1~2万円程度でしょう。
その程度で落札できたらラッキーという感じですね。
ANAとBid My Priceとあなたの今後
ANAにとっては、プレミアムエコノミーが空席のままフライトするのは、まったくのムダです。
その為、これまでは顧客サービスの一環として上級会員向けに無償アップグレードの特典を付けていました。
もちろん、この特典が無くなってしまった訳ではありませんが、どうせならちゃんと収益に出来た方が良いという判断です。
通常販売して売れなければ、エコノミークラスからのアップグレードを有償で募る。それでも埋まらなければ上級会員に無償で開放するという、サービス提供事業者としてはまっとうなやり方ですね。
ただし、最初に説明した通りプレミアムエコノミーの座席数は非常に少ないです。
東京~シンガポール路線のB789では全246席中、プレミアムエコノミーは14席のみでした。
その他の路線でも10〜20席程度です。
このわずか5%~10%の座席を埋めるためだけに、Plusgrade社のシステムを導入したわけではないでしょう。
今後、この仕組みがビジネスクラスにも拡大していくのは間違い無いです。
先程解説しましたが、実際にルフトハンザ・ドイツ航空など、海外の航空会社ではビジネスクラスへのアップグレードに同じシステムを導入しています。
私が気になるのは、今後「Bid My Price」がビジネスクラスも対象になった時です。
現在、エコノミークラスやプレミアムエコノミーからマイルを使ってビジネスクラスにアップグレードすることができます。
これは無償ではないので、予約確定後に空きがあればいつでも申し込めます。*1
ANAとしてはマイルでアップグレードされるよりは、「Bid My Price」で空席が売れたほうが収益に貢献します。
Bid My Priceの登場によって、エコノミークラスからプレミアムエコノミーへのアップグレードは、以下の流れになりました。
- 通常販売でプレミアムエコノミーを販売する。
- 7日前までに空席が残っていれば「Bid My Price」で売りさばく
- それでも空席が残れば上級会員に開放する
1つでも多くの座席を売って収益を上げるという意味では、当然の流れだと思います。
そうするとビジネスクラスも以下のような流れが考えられます。
- 通常販売でビジネスクラスを販売する。
- 7日前までに空席が残っていれば「Bid My Price」で売りさばく
- それでも空席が残ればマイルでアップグレードができるようにする
私はANA陸マイラーなので、ANAが収益を上げて成長していくことは応援している立場です。
しかし、最近陸マイラーへの風当たりが少しずつ強くなってきているような気がします。
特にSFC会員への風当たりが。
一般的に上級会員が少ない間は、手厚い待遇を受けることが出来ます。
しかし、会員数が増えてくると徐々に待遇が悪くなっていくことはよくある事です。
SFC会員は上級会員の中でも、比較的ANAへの利益に貢献しない会員属性です。
なぜならSFC会員の多くが陸マイラーだったりするため、ポイントサイトでマイルを貯めて特典航空券で旅行することが多いからです。
SFC会員もクレジットカードを維持するために年会費を払っていますが、正規でビジネスクラスの航空券を購入し、その結果「プラチナサービス」メンバーになっている人とは、顧客としての重要度に違いが出てきます。
また、ANAは国内に強力なライバルを抱えています。
そう、JALですね。
リーマンショックでJALが破綻するまでは、ANAはJALの背中を追い掛けていました。
現在、売上ではJALを超えたものの、会員数では負けています。
しかし、近年、あたかも陸マイラーを支援するかのような活動の成果もあり、会員数もJALに迫ってきています。
1番手を走る企業と、2番手を走る企業ではユーザーに対する温度感が変わってきます。
この先数年でANA陸マイラー界隈が、どのように変遷していくか。
目が離せませんね。
- 誰でもできるANAマイルを貯めるおすすめの方法
- ANAの飛行機に乗って貯まるフライトマイルと具体的事例
- クレジットカードでポイントを貯めてANAマイルに交換する
- ポイントサイトのハピタスを活用してANAマイルを貯める
*1:もちろん空きがなくても空席待ちは可能です。